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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】加藤に贈るノムさん語録「失敗と書いて成長と読む」

2019年5月8日 紙面から

完封で広島に勝利し、大野雄(左)と肩を抱き合って喜ぶ加藤(板津亮兵撮影)

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 姿を現すなり、83歳の御大はボヤいた。「おお、元気か? オレはダメだ。嫁さんがいなくなったら何にもできん…」。監督、ご無沙汰しております…。

 野村克也さんが山崎武司さんとの師弟解説のため、ナゴヤドームにやってきた。厚かましくも2人の会話に交ぜていただいた。昔話の後、今季の中日は加藤を抜てきし、正捕手に育てようとしていることを説明した。

 「オレは若いころ、鶴岡(一人)監督に結果論で叱られたもんや。真っすぐを打たれたら『何で真っすぐを投げた!』。変化球なら『何で変化球を…』と。捕手を育成するのは難しい。時間がかかる。必要なもの? 根拠や。なぜその球を選んだのか。配球には根拠がなけりゃいかん」

 ヤクルトでは古田敦也を、楽天では嶋基宏を育てた。嶋を厳しく育てる姿を見ていた山崎さんが、こう教えてくれた。

 「監督は根拠があるのか、ないのに言い訳しているのかをお見通しだった。そして、不思議なことに根拠あるリードができるようになると、打てるようにもなるんです。古田さんも首位打者でしょ? 嶋だって(2010年に)3割打ったからね」。打力がある人間が正捕手になったのではなく、野村の教えを理解できた捕手は根拠を逆手に取り、打撃に生かせるようになったのだ。

 「捕手の三大要素とは分析、観察、洞察なり」「捕手は右目でボールを捕れ。左目は打者を見よ」「記憶に頼るな、記録せよ」「捕手は常に疑え」「送球の優先順位は早く、正確に、強くである」…。かつて僕が番記者としてたたき込まれた野村語録は数知れず。名捕手への道のりはこれほど遠く、険しい。

 チームにとって今季初完封だが、加藤にとってはプロ初完封。大野雄を導いた125球すべてに根拠と意思はあったのだろうか。2球連続暴投で打ちひしがれた4日を最後に、2試合先発から外された。そんな加藤に、もうひとつ野村語録を送ろう。「失敗と書いて成長と読む」。この日、加藤は大きくなった。

(渋谷真)

 

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