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【Penペン草紙】

五輪で起きた爆弾事件と報道被害…東京では起きないことを祈る

2020年2月22日 15時55分

アトランタ五輪のセレモニー

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 最近日本でも公開されたクリント・イーストウッド監督の映画「リチャード・ジュエル」を見た。いや、見なければならなかった。

 1996年7月、米アトランタでは五輪が開幕。闘病中のモハメド・アリの聖火点火を覚えている人は多いだろう。記者も開会式の現場で、震えながらトーチを手にするアリの姿を見つめていた1人だった。

 五輪特有の熱気を吹き飛ばしたのは、五輪公園で開かれていたコンサート会場での爆弾事件だった。

 さまざまな事件・事故は経験してきたが、当時五輪100年の歴史を揺るがす衝撃。深夜の発生に1秒を競うがごとく現場に駆けつけたことを覚えている。

 市警、FBI、ATF…さまざまな捜査機関で混乱した現場。アドレナリンが噴出したのか、運が良かったのか、爆発現場近くまで入り込めた。負傷者の血痕も生々しい。男性が「無数のくぎが仕込まれていた」と指さす先に、大きなくぎのような金属片が落ちていた。

 すぐにピンときた。圧力釜爆弾にもくぎやパチンコ玉などを詰めれば、四方に飛散し、殺傷力を高める。破片手りゅう弾も同じだ。記者はカメラを手に金属片を撮影し、ほかの目撃者を捜し回り、紙面を飾ることができた。

 映画は爆弾の第一発見者となり、避難誘導にあたり、当初はヒーローとなった警備員ジュエルが一転容疑者に転落、後に疑いが晴れるまでを描いた作品だ。当時は分からなかったことが克明に描かれていた。

 当局のリークに乗ってジュエルを犯人視してしまう地元紙。そこにも事件前に何度も取材に行っており、市警本部にも足を運んでいた。映画の登場人物が他人とは思えない2時間余に、報道の刃という側面をあらためて感じざるを得なかった。

 「HOTLANTA」といわれた炎暑の地域で起きた爆弾事件と報道被害。同じ炎暑の東京では何事も起きないことを祈りたい。(三橋正明)

 

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