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【Penペン草紙】

球界を支える「裏方さん」という仕事 ヤクルト正捕手の弟、元83勝左腕…それぞれの再出発

2020年2月13日 18時0分

DeNAで再出発する中村辰哉打撃投手

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 プロ野球のキャンプもたけなわ。各球団ルーキーや新戦力のニュースが紙面を彩っている。初めてのキャンプに四苦八苦しているのは、選手だけではない。ヤクルト担当が長かった記者にはちょっと縁を感じる2人が、DeNAの裏方さんに加わった。

 まずは、中村辰哉打撃投手(24)。ヤクルト・中村悠平捕手(29)の実弟で、兄はもちろん、本人も福井商時代に甲子園出場。その際に取材もさせてもらった。兄の背を追って、捕手一筋でプロを目指し、福井商―龍谷大を経て独立リーグのBC福井で2年間プレーし、昨年限りで現役を引退。昨秋のテストを受けて合格し、このキャンプの後、正式にDeNAと契約する。

 大きなケガなく高卒でプロ入りした兄と違い、中学、高校、大学と靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を含む右肘手術を3度。独立リーグでは痛みなく野球に打ち込むことができたが、プロへの道は開かなかった。「大卒だし年齢的に1、2年勝負と思っていた。やっと自分の技術に向き合って野球を楽しめた2年間。それでけじめをつけることができた。選手じゃなくても、体が元気なうちにこういう世界に携わりたかった」と引退を決断した。

 捕手一筋だが「裏方さんがいない独立リーグでは選手同士で投げ合うので、コントロールはある程度自信があった」と、ブルペン捕手ではなく打撃投手で、という話にも抵抗はなかった。兄は「打者が気持ち良く打てるよう、外めに質のいい球を投げ続けることが大事」とアドバイスし、「簡単な世界じゃないぞ。裏方に徹して1年でも長くチームを支えて」とエールを送る。「今はまだアドバイス通り投げるのに必死だけど、これからは選手一人一人の特徴も覚え、打撃投手の方々の投げ方も見て勉強していきたい」と、新しい人生を踏み出した。

 もう一人は藤井秀悟打撃投手兼広報(42)。最多勝に輝き日本一に貢献した、ヤクルト時代の2001年に担当した。日本ハム、巨人、DeNAと渡り歩いて計83勝挙げ、14年限りで現役を退いた後は巨人で打撃投手を務めてきたが、今季からDeNAに移籍し、初めて広報を兼務することになった。「世界が広がるかなと思って『広報がいいです』と言ったけど、安易に考えすぎていた。拘束時間が長いし仕事の奥行きがありすぎて、広報の仕事は何もできていない」と苦笑いしながらも、球団と報道陣の間で奮闘している。

 年齢もキャリアも全く違うが、2人とも新しい環境や役割に慣れようと必死だ。こういう裏方さんたちに、球界は支えられている。(竹村和佳子)

 

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