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【Penペン草紙】

引退相撲でにじみ出た温かい人柄 荒磯親方(元横綱稀勢の里)

2019年10月7日 18時0分

田子ノ浦親方の止めばさみで大銀杏が取り外された荒磯親方

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 土俵上での涙の意味を問われて「どうだろう」とクールにはぐらかす口ぶりだけは、現役時代と一緒だった。元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)=田子ノ浦=が9月29日、超満員の両国国技館で行った引退相撲。紙面からこぼれた言葉からは、番付最高位の重責で隠れていた温かい人柄がにじみ出ていた。

 約300人がはさみを入れた断髪式を振り返り、印象的な対面に挙げたのが、関取最年長36歳の幕内豊ノ島だった。3学年上だが初土俵が1場所違いの「同期」。「教習所の光景を思い出して、こみ上げる思いはありましたね」と猛稽古で出世した元横綱らしく、感謝を込めて何度もうなずいた。

 「晴れ舞台に花を添えてくれてうれしいよね」。最後に、長年支えてくれた元付け人に感謝の気持ちを伝えたのも、らしさ全開だった。引退相撲を締める弓取り式の大役を担ったのは、弟弟子の三段目淡路海だった。

 巡業で弓を取ったことはあったが、本場所では未経験。それでも「巡業のトラックで練習してたのを、見てきたからね」と陰ながらの努力を見逃さなかった。当日朝に「ぜひお願いします」と自ら白羽の矢を立てた。

 引退にあたって、出版された親方の自伝のタイトルは「我が相撲道に一片の悔いなし」。あこがれて引退会見でも口にした「北斗の拳」の人気キャラクター・ラオウのセリフを意識したものだ。

 17年間の真っ向勝負の力士人生に続いて、親方として相撲道を次世代に伝える大仕事が待っている。目標は「長生きすること。力士と向き合うには、元気じゃないとやってられない」。同い年として、令和の横綱を育て上げる日が今から待ち遠しい。 (志村拓)

 

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