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【コラム 人生流し打ち】

[コラム]落合博満が愛した世界に1台のクラウン これがウワサの「装甲車」だ

2020年1月13日 12時18分

落合博満さんのクラウン、見かけはノーマルだが

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 中日・小笠原慎之介のマクラーレンがファンにとって興味の的だそうだ。乗ってから稼ぐのもあり。とにかく頑張ってほしい。この機に古い写真をめくっていたら高級車が続々。ランボルギーニの黄色は山本昌さん、グレーは山崎武司さん。赤いフェラーリは阪神に移籍した福留孝介…。

 セピア色の写真も何枚か出てきた。落合博満さんのトヨタクラウン。撮影データにはロッテ時代の1982年11月とある。紺色で外見はご覧の通りノーマルだが、同僚たちから「装甲車」と呼ばれた世界に1台のクルマなのである。

改造中の車内をチェックする落合さん(右)

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 2枚目の写真は工場でチェックする落合さん。新車の内装がすべてはがされ、衝撃を受けても大けがをしないように補強材が至るところに埋め込まれた。ベースは6代目のクラウンで全長4860ミリ、幅1715ミリ、高さ1435キロ、車重は1490キロ。しかし改造したため倍近い重さになっていたそうだ。

 中日移籍後、何度かこのクルマに同乗させてもらった。補強材の厚みで、室内はかなり狭くなっていた。一度だけ運転するチャンスがあった。「ちょっと疲れたな。運転代わるか」。そう言われたのは東京から名古屋に向かう深夜の東名高速。1億円プレーヤーに万一のことがあったら、と思うとさすがに青ざめた。

新車のクラウンは内装がすべてはがされた

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 「こ、このクルマなら事故っても死にませんよね」と筆者。「高速だぞ。死ぬよ」。そんな会話の後、「いいよ。おれが運転するよ。もしおまえが違反や事故を起こしても、『落合がおまえを身代わりにした』と言われるんだ。世間はそんなもんだ」

 筆者とは対照的に、こんな感じで何事も深読みする人だった。

 野球でも身体を守ることには敏感だった。中日の監督時代には死球禍を和らげるエルボーガード、自打球の衝撃を軽減するレガーズの着用を選手に強く推奨した。

 ただ、本人は現役時代、それら防具の類いは身に着けなかった。規約上許されていたこともあり、ヘルメットには耳当てもなかった。球をよける技術があったし、変化球の上っ面をたたいて足にあてるようなバットワークの持ち主ではなかったからである。

大きなリストバンドをつけた構えは神主打法と言われた

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 ところが引退後、ある秘密を知った。トレードマークでもあった、あの大きなリストバンド。その中に衝撃吸収材が仕込まれていたというのだ。おそらく一番よけづらく、リスクが大きいコースだったのだろう。まったく知らなかった。

 見かけでは分からない。それが落合博満という男である。(増田護)

 

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