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【コラム 人生流し打ち】

やらかした落合博満の「魔法の言葉」 中日・高橋 見習っていいかも

2019年9月13日 16時50分

1988年の日本シリーズ西武戦、ホームランの宇野(左)を落合が迎える

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 12日の広島戦(マツダ)で中日・高橋周平内野手がファウルフライを落球した。5回2死、走者なし。ここから又吉は打ち直しの菊池涼に左前打され、四球とヒットで失点。投手がいかに繊細な神経の持ち主か、あらためて思い知らされた。

 与田監督は「ひとつのエラーを責めるようなことはしたくないし、するつもりもない。何かが起きた時に常に前を向いていくべきだ」と高橋をかばった。

 そうは言われても、失策をやらかした高橋は針のむしろ。「捕れなかったので、次にがんばりたい」と声を絞り出すのが精いっぱい。仕事でさんざんミスをやらかしてきた筆者には彼の気持ちが手に取るように分かる。

 野球にエラーはつきもの。中日の先輩たちはそんな時、どう対処してきたか。内野手ならマウンドに駆け寄り、悪びれながら「すみません」などと頭を下げるのが普通で、「打って返すから」などと付け加えるケースもあるだろう。

 どうやら、それは並の選手がやること。大物は考えられない行動に出るようだ。中日OBの今中慎二さんに聞いたことがある。「落合さん、宇野さんには謝ってもらった記憶がない。それどころか、マウンドに来て『次は絶対に抑えろよ』と言って守備位置に帰るんです」

 なぜ落合博満さんはそういう行動に出たのか。本人の説明はこうだ。「謝ったら投手の気持ちは後ろ向きになるだろ」。そしてこう続けた。「でもな、エラーの後はちゃんと打って返してきた。おれはそういう気持ちでやってきたんだ」。

 宇野勝さんも「謝るわけないよ。抑えろ、だよ」と言った。投手の年齢によって言葉遣いは違っても、抑えるよう言った手前、当人が結果を出さなければ顔向けできない。「抑えろ」は投手だけでなく、自分をその気にさせる魔法の言葉でもあったのだ。 

 宇野さんといえば、星野仙一投手の完封勝利を帳消しにするヘディング事件で有名だが、当時23歳。「抑えてください」などとあの星野さんに言えるはずがない。試合後、星野さんは食事に誘った。宇野さんが相当へこんでいると思ったからだ。「でも前から別の約束が入っていたので、星野さんの誘いは断っちゃったんだよね」。うっそー。

 これですよ、周平さん。まだまだ勉強。ぜひとも大物への道を進んでください。

 

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