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【コラム 人生流し打ち】

86歳・岸恵子さんに学ぶ高齢者免許返納法

2019年6月7日 0時32分

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 暴走あり、逆走あり、高齢者の事故がやまない。ある中日OBの家族も運転免許返納を巡って苦労したという話を耳にした。現役時代から運転に自信があるため本人が納得せず、車のキーを取り上げても、探し出してしまうとのことだった。

 こういう場合に打つ手はあるのだろうか。中日スポーツの長谷川有美記者が取材した女優岸恵子さんにヒントがある気がする。1953年に出演した映画「君の名は」の大ヒットでブレークし、その後も第一線で活躍。86歳になったいまも年齢を感じさせない若さと美貌の持ち主である。

 そんな岸さんが免許を返納したのは3年ほど前だったそうだ。きっかけは娘のひと言。「ねえ、ママ、車庫入れをやってみて」と自宅でテストされた。それまで高齢者講習に2度ともトップで合格していた岸さんは、自信満々でハンドルを握った。

 自宅前は狭い道ではあるようだが、2度、3度とやり直したところで「ママ、もうやめなさい」とダメだしが出た。岸さんも娘の勧告に素直に従い、今後乗りたくなってもハンドルを握らないよう愛車も手放したという。見事な決断だった。

 長谷川記者は「娘って、母親にけっこうズケズケとモノが言えるんですよ。岸さんも、娘だったから受け入れられたと話していました」と言う。巧みに母親の心理をつき、現実をつきつけることで本人を納得させた娘のファインプレーだったわけだ。

 車好きだった作家の五木寛之さんは動体視力の衰えを感じたため運転をやめたという。著書「退屈のすすめ」によると、新幹線で通過する駅名の看板が読みにくくなり自ら決断したのだと。こうやって自律できる人はいいが、そうでない場合は家族の作戦が有効なような気がする。

 もちろん交通の便が悪い地方に住んでいれば簡単に決断できないこともあるだろう。家族はもちろん、地域、メーカーを含め真剣に向き合わなければならない問題である。

 

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