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【コラム 人生流し打ち】

[コラム]2000安打の夜、荒木雅博に尋ねられた 「ボクが記録を達成すると思っていました?」

2019年2月28日 18時0分

荒木コーチ(左)の指導を受けながら守備練習する根尾

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 2000安打を達成した2017年6月3日の夜、荒木が筆者にこう尋ねてきた。「ボクが記録達成すると思ってました?」。思うわけないよ。だって外れの外れの1位だもの。「ですよね。お前ならやると思ってたという人がいるんですよ」

 担当スカウトだった早川実さんによると「それね、努力の人だと言ってほしいから聞いたと思うな。ぼくらだって4位の評価しかしてなかったんだから」とのこと。プロの目から見ても、努力と工夫でつかんだ栄光だったようだ。

 話は変わる。先日、歌舞伎俳優の中村七之助さんを取材した。印象的だったのは父・勘三郎さんの思い出。指導者としてはダメだったそうで、「父は天才肌。考えなくてもできる。だからこっちができないと、『なんでできない、なんでだ』と怒るんです。できない者の気持ちが分からなかったんです」

 その点、坂東玉三郎さんは最高の師だという。当世最高の女形。例えばクビをかしげる所作があるとすれば「髪から水滴がつ〜っと垂れる感じで」と指導してくれ、「早替わりは、早着替えになっちゃだめ。替わった人格も考えて」などと心に染みる言葉をかけてくれるのだとか。男が女になりきるため、すべて理詰めだったのだ。

 「玉三郎さんに教えていただくようになって、けいこの虫だった父に言われたんですよ。『おまえ、まだけいこするのか』って」

 再び荒木の話。今シーズン、コーチになった彼もまた落合監督をあきれさせるほど練習の虫だった。玉三郎さんのような指導者になれる素養はあると思う。ただ、打てば響く選手ばかりではない。選手にとってやらされる練習にも意味がある、という声もある。さあ、どう育てる? 荒木コーチ。  (増田護)

 

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