トップ > 中日スポーツ > ゴルフ > 桑原克典の「使えるレッスン」一覧 > 記事

ここから本文

【桑原克典の「使えるレッスン」】

それではダメ 常識の穴

2016年9月22日 紙面から

 長いホールのティーショットはとにかくドライバー、曲げたくない時はクラブを短く、バックスイングではシャフトを立てろ−。ゴルフには「常識」と言われているものが数多くあります。間違っていないのかもしれないけど、常識の通りにしたのに、ミスが出ることも、しょっちゅう。ゴルフの「常識」の裏側にある「真実」を、桑原克典プロが教えてくれた。 (聞き手と構成 青山卓司)

いつでもドライバー?おすすめできませんね

写真

うまくやったつもりなのに… どうして曲がる?

 −ゴルフだけじゃなく、野球にしろ、テニスにしろ、スポーツにはセオリーというものがあります。定石と解釈してもいいのかもしれません。でも、そのセオリーとか常識をそのまま信じても、結果に結び付かないのも、また事実。例えば、どうしても曲げたくない時に、クラブを短く持って、OBを出してしまうとか(涙)

 桑原「最後は実感こもってましたね。確かに格言のように『曲げたくなかったら、クラブを短く持て』なんて言われますよね。短く持てばミート率は上がるはずだから、曲がらなくなるのは一理あります。でも曲がる。なぜか? 曲がるスイングをしているからです。曲がるスイングをしていたら、どんなに短く持っても曲がります。逆にドラコンホールとかで、思い切り振った時に、意外に曲がらなかったりしません? ヒントはそこにあります」

 −確かに「エイヤー」で、思い切り振ると、意外に曲がらなかったという経験はあります。思い切りがキーワードのようですね

 「ご名答です。クラブを短く持つ人は、スイングまで小さくしようとします。真っすぐ引いて、真っすぐヘッドを出そうとして、スイングプレーンをはずしてしまいます。そのスイングでは曲がります。逆です。短く握ったら、スイングはゆったりと大きく振ってください。バックスイングは大きく取ってください。バックスイングが小さくなればなるほど、シャフトがトップでクロスします。クロスシャフトからはカットでしかクラブは下りてきません。クラブを短く持つことは、スイングを小さくすることではありません。スイングはいつも通りで振る。短い分だけ、ボールに近づけて、ミート率が上がるから真っすぐ飛ぶのです」

 −短く握るとスイングまで小さくなってしまうことが曲がりの原因なのか

 「フィニッシュもそうです。ハンドファーストでインパクトを迎えたら、大きくインサイドに振ってフィニッシュにもっていく。クラブヘッドの動きにつられて、上半身が回転していくというスイングです。小さなフィニッシュでは、このインパクト以降の動きができません」

打ち上げや追い風 スプーンが一番

<1>シャフトを短く握っても、スイングは小さくしない。スイングを小さくしようとすると、肘が空き、クロス気味のトップになることが多い<2>フィニッシュも大きく。カット気味に下りて小さくフィニッシュを取ると、左右どちらにも曲がる<3>小さなトップでは体が突っ込み、右肩が出てしまっている

写真

 −短く持った瞬間に、スイングまで小さく振ろうと思ってしまうことがミスショットの原因ですね。短く持って、いつも通り、ゆったりと大きく振り切ることですね

 「常識と言えば、ミドルホールやロングホールのティーショットをすべてドライバーで打とうとするゴルファー、多いですね。それは改めた方がいいと思います」

 −短いミドルホールや狭いホールなんかはスプーンを持つことはありますよ

 「それも有効な場合もあります。それだけじゃなく、打ち上げのミドルホールや、追い風のホールでも、実はスプーンの方がいい場合もありますよ」

 −フォローではドライバーのほうが有利な気がしますが

 「フォローでは風に乗せた方が飛ぶのです。だから球を上げやすいスプーンが向いています。打ち上げのホールも高く上げて飛ばしたほうがいい。ランでは距離を稼げないですからね」

寝かすな立てろ やり過ぎマイナス

左から<1>理想のトップ。クラブを立てた状態はこのかたち。右の手のひらが正面を向き、左手首が折れていない<2>右の手のひらが正面を向いている<3>インパクト直後からクラブヘッドは自然にターンし、インサイドに大きく動いていく<4>理想のフィニッシュ。ヘッドにつられるように体が回転している

写真

 −なるほど。それが桑原流のセオリーですね

 「さらに付け加えると『シャフトは立てて振れ』ってありますよね。あれも誤解をしている方が多いです」

 −そもそもシャフトを立てろ、立てるなってどういうことですか

 「トップからダウンスイングでのシャフトの動きです。シャフトが寝るとは、バックスイングよりも、さらにインサイドからシャフトが下りてくる動きのことを指します。バックスイングよりも下からシャフトが下りるために、シャフトが寝てしまうのです。でもこれはきちんとインサイドから振ることのできるゴルファーに対してのアドバイスです。アベレージゴルファーはむしろアウトサイドに引いて、アウトサイドからクラブが下りてくる人が多いのです。そんな人にシャフトを立てて下ろせなんてアドバイスをしたら、どうなりますか」

 −アウトサイドからさらにシャフトを立てて振ると、カット打ちがさらにひどくなります

 「常識にもレベルがあって、プロや上級者レベルでインサイドからシャフトが少し寝て入ってしまう人へのアドバイスを、そのままアベレージゴルファーに適用すると、それはもう常識ではなくなるということです。まずはインサイドからクラブを下ろせるようにしましょう。バックスイングからトップで右の手のひらが体の正面を向いているのが理想です。その右の手のひらを正面に向けたままインパクトするくらいの意識でもいい」

 −それではスライスしませんか

 「手元が体から離れたり、左脇が空くと、インパクト後のフェースターンができなくなるのでボールは右へいきます。けどインパクトからヘッドがインサイドに走れば、ボールはスライスしません。大切なのはインパクト後のヘッドの動きです。フェースが自然にターンしてインサイドへ走れば問題はありません」

【プロの独り言】難易度は保ってほしいコース改修

 コースの話をしましょう。久しぶりに訪れたコースが、以前とはまるで違って見えることが、しばしばあります。

 近年の道具の進化の勢いは、すさまじいものがあります。クラブも、そしてボールも飛ぶようになりました。わたしはパーシモンと言われる木製のドライバーの時代を知っています。曲がるし、飛ばない。だから同じコースに立っても、受けるプレッシャーがまるで違っていました。不思議なもので、見える風景まで違って見えるのです。

 もちろん、改造によってホールの距離を長くしたコースもあります。長くすることで、難易度を上げるのです。ただし、やりすぎると、設計の意図を台無しにしたり、そのコースのよさを消してしまうことになりかねません。実際、オリジナルのよさをなくしてしまったコースをいくつも知っています。コースの良さを生かしつつ、距離に頼らず難易度を保つ改修こそが、求められています。そんなコースに出合うと、本当にうれしくなります。

 ▼桑原克典(くわばら・かつのり) 1969(昭和44)年4月4日生まれの47歳。愛知県北名古屋市出身。172センチ、71キロ。愛院大時代は「全日本学生」で優勝するなど、同い年の日大・丸山茂樹らとしのぎを削った。1992年にプロ転向。日本プロゴルフツアーマッチプレー選手権などツアー通算2勝。得意クラブはパター。ミズノ所属。

取材協力 明世カントリークラブ 瑞浪市明世町月吉1112番地の88 TEL:0572−69−2326 http://akeyocc.com/

(毎週木曜日の紙面に掲載。)

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ