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【井上透の最先端メソッド】

「パッティングを科学する」自宅でできる練習その2

2020年2月13日 紙面から

 前週から始まった「パッティングを科学する」の2回目です。パッティングで最も重要なことは「思った場所に思った強さで打つこと」で、前回は思った場所に打つことについて説明しました。今回は「思った強さで打つこと」について説明します。前回と同様、自宅でもできる効果的な練習法があります。 

  (取材・構成 堤誠人)

イメージをつかもう

 ロングパットで3パットをしてしまったことや、左右へ切れるラインに球が流されてしまった経験は誰にでもあるでしょう。これは「思った強さ」で打てていないことが原因です。

 どのくらいの強さで打てば、球はどのくらい転がるのか。野球やテニスなどをプレーしたことがある人なら分かるかもしれませんが、運動経験の少ない人にとってはイメージすることが難しいでしょう。

 こういう初心者にとって、「物」を投げることはいい練習になります。自宅で、ごみ箱に向かって丸めた紙くずを投げてみてください。かなりの確率でごみ箱へ入ったり、縁に当たったりする人は正しい距離感を得られる状態にあります。

 ところが、とんでもない方向へ投げてしまったり、力が全く入らなかったりする人もいます。こういう人は力加減について鍛える必要があります。繰り返し、自宅のごみ箱へ丸めた紙くずを投げていくと、自分の体で力加減をコントロールするコツが身に付きます。

 もう一歩、ゴルフに近い練習法としては、グリーン上で球を転がしてください。こうすれば、自分の動作に対して球がどのように転がっていくかが分かります。

 初心者にとっては、慣れていないパターで実際に打つよりも手で転がした方が良い結果が出るはずです。ある程度、狙ったところへ投げられるようになった段階で、初めて体の中に正しい距離感がつき、思った強さで打つことができる準備が整ったことになります。こういう人は、比較的早くパッティングが上達します。

 ごみ箱に向かって丸めた紙くずを投げてもなかなか入らない人や、手で球を投げてもいろんなところへ行ってしまう人は、クラブで打った時でも、どのくらいの強さで打ったらこの結果になるということがイメージできません。これでは当然、力を出せません。

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適切な加速得られる

 そして、ある程度の練習を重ねた中級者以上の方にやってほしいのがリズムトレーニングです。スマホでメトロノームのアプリをダウンロードするなど、一定のリズムで音が鳴る器具を用意してください。このリズムに合わせてパッティングの動作を繰り返します。

 最初の音で構え、次の音でトップまで引き、その次の音で球に当てるイメージです。「1、2、3」のタイミングに合わせて「セット、トップ、インパクト」の動きを繰り返してください。

 一定のリズムでストロークをすることによって、適切な加速が得られます。逆に言えば、トップからインパクトまでに適切な加速が得られなければ、球は思ったように転がりません。減速したり、著しく加速したりすれば球の飛び出しにばらつきが出ます。振り幅と、球の転がり方には関係があります。テンポを安定させることによって、距離感を身に付けることができるのです。

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問題点を把握しよう

 「思った強さで打つ」ことをマスターするためにまず必要なのは、どのくらいの強さで打てばどのように転がるのかというイメージを身に付けることです。そのイメージ通りにグリーン上で球を投げて転がして表現できるようになれば、一定の加速で打てるリズム感を身に付けることです。

 まずは、どのような問題点があって距離感を出せていないのかを自分で把握することです。自宅で丸めた紙くずをごみ箱に投げて、グリーン上で球を転がして、自分の問題点を正しく把握してください。

【井上透のひとりごと】

「しぶこ一色」が表す今の報道機関の立場とは…

 新聞や雑誌、テレビの報道が、昔に比べて大きく変わってきました。一例が、昨年夏以降のゴルフ界です。まさに、渋野日向子プロ一色だったと言えるほどでした。

 報道の内容は、より売れるもの、より視聴率を取れるものに偏ってきています。これは、今の報道機関が置かれている立場を表しています。

 現在の報道機関にとって、一番の悩みは売れない、読まれない、見てくれないことです。注目されるための手段として、まず思い付くことはスターを取り上げること。結果として、みんなが同じ情報を出しているというわけです。

 そして、スターが去ってしまうと紙面や画面から消えていくという構造です。取り扱う情報がない、という判断です。

 報道機関(メディア)は紙面や誌面、放送時間に限りがあるので、いくつもの情報を詰め込むことができません。そのため、マニアックな情報やニッチな情報を取り上げず、大衆(マス)が気にする情報しか取り上げないのです。まさに「マスメディア」です。

 競技時間が長く、多くの選手がいろんな場所で同時にプレーしているゴルフは、情報量が限定されたメディアには向かないスポーツです。今後の報道のあり方を議論する時期にきているのではないでしょうか。

 <井上透(いのうえ・とおる)> 1973(昭和48)年4月3日生まれ、横浜市出身の46歳。大学生の時に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。97年に日本初のプロコーチとなり、現在は成田美寿々や穴井詩らを指導。世界ジュニアゴルフ選手権の日本代表監督を務めるなど、ジュニア育成にも力を入れる。2016年から東大ゴルフ部監督。

 取材協力 横浜本牧インドアゴルフ練習場(横浜市中区本牧原15の6グロブナースクエアB1)(電)045(228)7739

(毎週木曜日の紙面に掲載)

 

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