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【井上透の最先端メソッド】

いろいろ試して自分に合ったバランスを見つけましょう

2019年11月21日 紙面から

 今回は正しいクラブの選び方について説明します。重いクラブは操作性が良くありませんが、軽いクラブは自在に操れます。では、軽いクラブを使えばいいのでしょうか。答えは「ノー」です。自分に最も合ったクラブを選ぶことも、スコアアップに欠かせない重要な要素なのです。  (取材・構成 堤誠人)

昔のジュニア選手のスイング

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慣性モーメント大きい

 かつて、皆さんは「慣性の法則」というのを学校で勉強したと思います。止まっている物体はエネルギーを与えない限り動かないし、動いている物体はいつまでも動き続ける、という法則です。

 クラブの扱いも同じです。重い、長いといったクラブは先端部をコントロールすることが難しく、操作性が良くありません。これを専門的に言うと「慣性モーメントが大きいので動かしにくい」と言います。逆に、軽いクラブは操作性が良いので、どんな動きでもできます。

 以前、子ども用のクラブがあまりなかった時代のジュニア選手は、大人用のクラブを切って使っていました。それでも、子どもにとってはまだまだ重いので、クラブの重さに任せて振る人が多かったのです。良く言えば体全体を使ったスイングですが、悪く言えば手先を使えないスイング。つまりオーバースイングや、テンポがゆっくりしたスイングになりがちでした。

 仮に、プロレスラーのような大きい体格の人が、ものすごく軽いクラブを振ればどうなるのでしょうか。コンパクトで、テンポの速いスイングになることは容易に想像できます。

試す順番 重い→軽い

 では、最善のクラブはどのような重さのクラブになるのでしょうか。もちろん「ちょうどいい重さのクラブ」がいいに決まっています。

 クラブを選ぶ時はテストをしてみましょう。重いクラブから軽いクラブへ。その中で、どのクラブが最も操作性が良くて真っすぐ飛ぶのかを見極めてください。

 一般論としては、自分が操作できる範囲の中で最も重たいクラブを選べば良いと思います。あまりに軽すぎるクラブを使うと、スイング中にかかる遠心力が不安定になり、クラブ軌道がばらつく要素になります。

 「操作性が高いから軽いクラブが良い」と考えるのではなく、「自分が思うように操作できる中で最も振れる、重いクラブを選ぶ」ということがクラブ選びのコツなのです。

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朝のアップで使い分け

 朝のアップの時も、重いクラブと軽いクラブを使い分ける準備方法があります。多くのプロは、2本のクラブや野球のバットを使ってストレッチをします。これは、クラブの重さを利用して体の可動域を確認することが目的です。体に負荷をかけることは重要だと思います。

 また、サンドウエッジなどクラブで球を拾っていく動作も、前腕部の動きを高めるためには有効な準備方法だと思います。

 みなさんもクラブを選ぶ時やアップの時、軽いものから重いものまで、いろいろなクラブを振ってみて、どういうバランスのものが最も自分に合うのかを試してみてください。そうすれば「私はカーボンシャフトがいい」「いや、私はスチールシャフトの方がいい」など、いろいろなことが考えられるようになります。ぜひ、試してください。

【井上透のひとりごと】

希望与える“ショートゲーム派”金谷のアマV

 先週の男子ツアーでアマチュアの金谷拓実選手(東北福祉大3年)が優勝しました。アマの優勝は倉本昌弘選手、石川遼選手、松山英樹選手に続く史上4人目の快挙ですが、私にとって、あまり驚きはありませんでした。起こるべくして起きた、という感じです。

 金谷選手は、女子の「黄金世代」と同じ1998年度生まれです。以前、この欄でお話ししたように、今の大学生世代は高い実力を持った選手がそろっています。

 今回の優勝も含め、金谷選手の実績には、よく「松山選手以来」という言葉が付きます。ただプレースタイルは、大学の先輩にあたる松山選手とは大きく異なります。

 松山選手は外国人にもあまりひけを取らない体格で、世界でも屈指のアイアンショット力が大きな武器です。もちろん、飛距離もあります。一方、金谷選手は日本選手の中でも目立った体格ではなく、技術的にはアプローチやパッティングを得意にしています。

 いずれ、金谷選手はプロになるでしょう。とにかく飛距離、と言う時代で、どちらかと言えば「ショートゲーム派」と言える金谷選手が世界の舞台で活躍すれば、多くの日本選手に希望を与えるかもしれません。

 <井上透(いのうえ・とおる)> 1973(昭和48)年4月3日生まれ、横浜市出身の46歳。大学生の時に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。97年に日本初のプロコーチとなり、現在は成田美寿々や穴井詩らを指導。世界ジュニアゴルフ選手権の日本代表監督を務めるなど、ジュニア育成にも力を入れる。2016年から東大ゴルフ部監督。

 取材協力 横浜本牧インドアゴルフ練習場(横浜市中区本牧原15の6グロブナースクエアB1)(電)045(228)7739

(毎週木曜日の紙面に掲載)

 

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