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【井上透の最先端メソッド】

アマチュアのかっこ悪いスイング…原因は恐怖心です

2019年11月14日 紙面から

 今回のテーマは、インパクトについてです。プロのような力強いインパクトを身に付けるためには、どのような練習をすれば良いでしょうか。今回は、市販されているインパクトバッグを使った練習方法を紹介します。恐怖心のない思い切りの良さと正しい方向性を意識しながら練習すれば、あなたも力強いインパクトを身に付けることができます。 (取材・構成 堤誠人)

「当たるかどうか」不安

 プロとアマチュアではインパクトが大きく違います。映像を見ても、プロは左腕からクラブが一直線になって力強いのですが、アマは肘が引けたり腰が引けたり…、とカッコよくないですよね。

 なぜ、アマは力強いインパクトができないのか。それは、びびっているからです。ゴルフの球は小さいので、球を打つ時に「当たるのだろうか」という不安を感じます。そうなるとインパクトの手前でブレーキがかかり、当てにいく動作が入るのです。

 例えば、ボクシングの練習で使うサンドバッグをたたく時のことを考えてみてください。やったことのない人は「手が痛いんじゃないか?」と思うでしょう。すると、思い切りたたけばいいのに、少しゆるんだパンチになります。

 ゴルフのスイングも、これと同じことです。びびると萎縮して腰が引けるのです。インパクトの直前に怖がったような動作が入るのも、びびりが原因なのです。

 では、なぜプロはびびらないのか。もちろん、それだけ練習しているということもあります。ただ、昨今のジュニアゴルファーはびびりません。それは、怖さがないからです。

 子どもは転んでも大けがをしませんよね。これは、恐怖心がないことが理由の一つです。そもそも、子どもは何が怖くて何が怖くないのかが分かりません。同じように、ジュニア期にゴルフを始めた選手には怖さがありません。これが大きいのです。

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中はタオル…痛くない

 しかもジュニア用のクラブは短いので、ボールと目との距離が近い。こんな子がゴルフに取り組めば、いいインパクトが身に付くに決まっています。ゴルフをジュニア期に始めるのと、大人になってから始めるのとで難度が全く違うというのは、ここからきています。

 では、どうすれば大人になってからでも、力強いインパクトを身に付けることができるのか。大きくて、中にタオルが詰まっているインパクトバッグをたたいてみましょう。空振りすることはありませんし、軽いので手首を痛めることもありません。野球のバットでいいので力強く、思い切りたたいてください。

 ただ。この練習には弱点があります。気持ち良くたたいた時、シャフトは前方へ引っ張られ、力強いインパクトができています。でも、フェースの向きはどうなっているのでしょうか。アマは、思い切り開いていることが多いのです。

 この弱点を解消させるには、アイスホッケーのスティックを使えばいいでしょう。インパクトの時、ゴルフクラブのフェースにあたるブレードが開いていればバッグは右に飛びますし、かぶっていれば左に飛びます。

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「面」を意識してたたく

 まずは、力強く当てること。そして、当てた時にフェースの向きが正しく目標の方向を向いていること。この2点が重要なのです。

 インパクトバッグを使った練習では、たたくだけではなく「面」を意識してください。ゴルフクラブでフェースの向きを意識するだけでもいいのです。フェースの向きが正しい方向へ向くように意識しながら練習すれば、力強いインパクトを身に付けることができます。ぜひ、試してみてください。

【井上透のひとりごと】

長期活躍の“保険”もコーチの役割

 どんなに優秀なプロゴルファーにも調子の波が必ずあります。シーズンの中でも数週間もしくは数カ月間で好調と不調が交互にやってくることもありますし、数年の間で好調な年と不調な年がそれぞれ巡ってくることもあります。

 私が選手のコーチを受ける時は、過去の成績を全てチェックすることから始めます。すると、ある選手は春に弱くて夏に強いとか、好不調の波がどの程度あるのかを知ることができます。それによって指導方針が大きく変わります。

 勝てる力がある選手は1年で最低1勝が目標になりますが、実際に毎年のように勝つ選手はほんの一握りです。多くの選手は、あるシーズンは勝ったり素晴らしい活躍を見せたりしても、これを5年以上続けることは困難です。

 コーチの重要な役割は、選手を勝利に導くことはもちろんですが、長期で活躍するための保険の役割も兼ねています。

 今季、大ブレークした渋野日向子プロにも、これから多くの好不調の波が襲ってくるでしょう。しかし、あの笑顔を見ていると、彼女はきっと大丈夫と思ってしまいます。

 <井上透(いのうえ・とおる)> 1973(昭和48)年4月3日生まれ、横浜市出身の46歳。大学生の時に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。97年に日本初のプロコーチとなり、現在は成田美寿々や穴井詩らを指導。世界ジュニアゴルフ選手権の日本代表監督を務めるなど、ジュニア育成にも力を入れる。2016年から東大ゴルフ部監督。

 取材協力 横浜本牧インドアゴルフ練習場(横浜市中区本牧原15の6グロブナースクエアB1)(電)045(228)7739

(毎週木曜日の紙面に掲載)

 

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