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ベトナム語捜査官応募0人 富山県警17年度から募集も…

在住者増で需要増 民間と求人競合

国際捜査課がある射水署の窓口に置かれている、多様な言語が書かれた案内標識=富山県警射水署で(向川原悠吾撮影)

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 外国人犯罪の捜査に従事し、取り調べの通訳なども担うベトナム語の国際捜査官の採用に、富山県警が苦戦している。近年の経済交流の高まりを受け、ベトナム人の県人口が増加の一途をたどる中、県警は二〇一七年度から募集を始めたが、これまで応募はゼロ。民間との競合が背景にあるとみられるが、治安の問題にとどまらず、人権保護の観点からも危ぶまれる事態となっている。(向川原悠吾)

 県によると、昨年一月現在で県内には四千六十二人のベトナム人が在住。最多の中国人の五千一人に次ぐが、ベトナム人は前年と比べて千人以上増えており、今年中にも中国を上回る見込みだ。

 昨年上半期に県内で摘発された外国人は三十五人。このうちベトナム人は最多の十六人だった。全国でもベトナム人による犯罪の摘発数は増加傾向にあり、一八年は五千百九十九件で国籍別で最多。集団窃盗など共犯率が高く、複数の容疑者がいればその分だけ通訳も必要になる。

 県警の捜査官はロシア、ウルドゥー、中国語を話す六人。ベトナム語での取り調べが必要な場合は民間の通訳に頼んでいるが、数は限られ、手が回らなくなる恐れも出てくる。

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 ベトナム人が増える背景には国内の中国市場からの移行が指摘されている。県新世紀産業機構の鎌田慶昭アジア経済交流センター長は「ものづくりの拠点だった中国で人件費が上がり、低価格に抑えられるベトナムに投資が移っている」と分析。両国間の経済フォーラムが頻繁に開かれ、ベトナム人は日本で仕事を、日本人は成長率が高いベトナム市場に足を踏み入れる構図ができつつあるという。

 こうした流れからベトナム語を話す日本人の需要が高まり、民間企業では取り合いの状態も生まれている。ある県警幹部は「給与で上回る民間に人材が流れ、ベトナム語の捜査官はいま、どの県もほしい。確保は急務な課題だが、どうしたらうちに来るのか」と頭を悩ませる。

 県警は現在、ベトナム語の捜査官を養成しようと、職員数人を警察庁で研修させているが、まだ時間はかかる。県警国際捜査課の担当者は「採用が進めば少しでも通訳の負担が減る。情報収集もできて捜査の幅も広がっていく」と採用の意義を語る。

 これまで中国やロシア、ベトナム人らの弁護を担当した富山県高岡市の坂本義夫弁護士は、人権保護の観点などから捜査員の必要性を指摘する。「日本人でも専門用語が分からない人はいるし、外国では制度も違う。言葉を話せるだけでなく、用語の意味や概念を説明できる知識を持った捜査官は絶対必要だ」

 

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