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特報とやま

富山駅前伸びしろ期待 いま相次ぐホテル建設

(上)JR西日本グループのホテルが入る複合ビルの完成予想図=富山市富山駅周辺地区整備課提供(下)オークラ系「ホテルJALシティ富山」の完成予想図=西松建設提供

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新幹線延伸へ先行投資か

 富山駅の周辺で二〇二二年までにホテルが相次いで開業する。JR西日本グループ、ホテルオークラ、ヒルトンが関わり、いずれも駅から三百メートル圏内にある。一五年の北陸新幹線の開業から時を経ての「建設ラッシュ」。背景に何があるのか−。(山本真士)

 「駅前の客室が七百室増える。脅威だ」。富山エクセルホテル東急の岡田浩之総支配人は危機感を隠さない。ヒルトン系のホテルが真向かいにオープンする。JR西やオークラ系の建設地も近い。「ヒルトンは欧米系に強い。富山に新たなマーケットをつくりに来るのでは」。需要の拡大には期待しつつ、対策を練る。

◇金沢と大きな差

 一八年から続いた三つのホテルの進出発表。「客室の不足感がある」「宿泊者の増加が見込まれる」。各社が言及したのが潜在的な可能性だった。観光庁の調査によると、一八年における観光の来県者は新幹線開業前の一四年から27%増えた。だが宿泊者は8%増にとどまり、石川県の21%増に大差をつけられている。

 富山駅前のホテルが好況なわけではない。新幹線の開業当初、金沢市では客室が不足し、宿泊料金が高騰。安価な富山に客が流れる構図があった。しかし、金沢にホテルが増え、供給過剰が指摘されるほどの状態になると、価格差は縮まった。「富山に目的がなければ泊まる理由がない。どのホテルも今年の売り上げは前年割れするのでは」。あるホテルの幹部は嘆く。

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◇残っていた用地

 それでも三つのホテルは富山駅前への進出を決めた。ある既存ホテルの関係者は「(二三年の)北陸新幹線の敦賀延伸や、その先の大阪延伸までを考えた動きでは」と推測する。福井や関西との「接近」を見越した先行投資との見方だ。

 一方、顧客の囲い込みが狙いと見る向きも。ホテルチェーンでは会員制の充実と店舗網の拡大で客のリピート率を高める戦略が一般的。ヒルトンはこうした手法を世界的に展開している。オークラは新潟市と金沢市にホテルがあり、富山市はその間にある「空白地帯」だ。

 また、富山不動産鑑定事務所の不動産鑑定士・朝倉秀朗さんは「富山駅前には、金沢にはほとんどなくなった大きな用地が残っていた」とみる。駅周辺の都市整備が進み、景観の向上や人の往来の活発化が見られることも進出を後押ししたと分析する。

 三年後の料金水準に対する見方は分かれている。北陸経済研究所・主任研究員の熊野和夫さんは「競争が起きれば、料金は抑えられる」と引き下げ圧力を見込む。一方で、「三ホテルはハイグレード(高級)の価格帯になるだろう。客室単価は上がるかもしれない」とみる幹部もいる。

◇人呼ぶ受け皿に

 大手ホテルの進出により、別の側面への期待も聞かれる。あるホテルのマーケティング責任者は「ヒルトンやオークラの進出で街の魅力は高まる。客室が増えれば、ホテル不足が障壁だった大規模イベントが開催されるかも」。思い描くのは共存共栄だ。

 恩恵は他業種にも及ぶ。熊野さんは「駅前を歩く人が増え、消費が増えるだろう」と予測する。「金沢独り勝ち」が指摘され、観光客の通過や冬場の落ち込みに悩む富山。「受け皿(ホテル)がなければ来てもらえない。人を呼ぶにはまず受け皿をつくること」。誘客の基盤形成に期待する。

 

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