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パン給食 消える? 富山市の小中、週1回以下に

給食用に焼き上げられたコッペパン=富山市八尾町舘本郷の皆口製パン所で

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業者撤退 → 悪循環 ← 回数減少

 富山県内の小中学校でパン給食が急速に減っている。かつて給食といえばパンが中心の時代もあったが、今は米飯給食を推す流れが強い。少子化で給食自体の数も減り、一部の製造業者は撤退か継続かの岐路に立つ。食文化への影響も心配されている。(山本真士、写真も)

■ 71社から20社に

 平日朝。皆口製パン所(富山市八尾町舘本郷)は香ばしいにおいに包まれる。コッペパン、黒糖パン、レーズンパン…。全て富山市内の学校給食用だ。コッペパンだけでも、学年に合わせて四種類の大きさを作り分ける。自ら製造、配達する皆口靖社長(64)は「手間はかかるが、喜ばれるパンを届けたい」と言う。

 近年、パン製造からの撤退が相次いでいる。県パン・学校給食米飯協同組合の加盟社は一九五九年の七十一社がピーク。現在は約二十社で、このうち給食用パンの専業はわずか五社。加盟社の減少には設備の老朽化や後継者不足が関係しているが、献立の変化の影響は小さくないという。

 六月末には、富山市内の大手パン製造業者が給食から撤退した。時を同じくして、富山市教委は学校の米飯給食の回数を週三・五回から週四回に引き上げた。米飯の増加で、パン給食は週一回以下にまで減った。

■ 少子化で利益減

 業者にとって給食パンの製造は利益を出しづらい。業者は県学校給食会の委託を受け、給食会が購入した原材料でパンを作る。報酬は加工賃のみ。製造現場では生地発酵などに時間がかかり、人件費がかさむ。アレルギーや衛生に配慮した設備の投資も必要になる。

 そこに受注の減少という逆風が吹く。県内の児童生徒数は三十年前の六割に満たない。全国的に五〇〜七〇年代初頭はパン給食が中心だったが、七〇年代半ばに米飯給食が本格的に導入されると、米の消費拡大や伝統的な食文化の継承が重視され、米飯給食が主流になった。昨年五月時点で、県内の平均実施回数は週三・七回に上った。

 パン給食の減少が業者の経営悪化や撤退を招き、さらにパン給食が減る−。この悪循環は各地で起きている。最大手の業者が撤退した石川県では四〜七月、金沢を含む六市町の多くの学校でパンが出なくなった。

 北海道や静岡県などでは地元産小麦で作ったパンが給食に出ている。しかし、米どころの富山では十分な量の小麦を確保できない。「米飯VSパン」は「地元産米VS外国産小麦」の構図になりがちで、国産小麦を使う方法もあるが、外国産に比べ価格が高め。代替策として推進される米粉パンの導入はまだ限定的だ。

■ 食の多様性心配

 パン給食は元々、戦後に米国産の余剰小麦を使って始まった。全国の子どもがパンに親しみ、日本の食卓に一定の影響を与えたとされる。体験世代は六十歳を超え、幅広い世代がパンを食べる文化を支えている。

 県学校給食会は、市町村や学校の要望に応じて主食を供給する。米飯とパンの割合を決める権限はないが、担当者は「子どもたちの食の多様性を確保するために、パン給食がなくなっては困る」と危ぶむ。

 県パン・学校給食米飯協同組合の福井智一理事長(61)も「パン食文化の衰退が怖い」と心配する。週一回のパン給食では「設備や人材に十分な投資ができない」として、週二回の実施を関係機関に要望している。

 

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