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特報とやま

沸く沸く銭湯 集客奮闘 温泉旅館風、バス送迎、ランナー向け

 年々数を減らしつつある富山県内の銭湯。人件費の高騰などから十月に料金が値上げされ、客足への影響が心配される。一方、従来のイメージを覆したり、立地を生かしたりして、独自のサービスを展開する“個性派銭湯”が利用客の呼び込みに奮闘している。(柘原由紀、酒井翔平)

(上)温泉旅館のような外観の高原鉱泉=富山市高屋敷で(下)開発鉱泉の送迎バスに乗り込む入浴客=富山市月見町で

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 黒く光る瓦に木目調の壁。のれんをくぐると石畳に灯籠が立つ。夕方、温泉旅館を思わせる建物に若者が続々と入っていく。富山市高屋敷の「高原鉱泉」は銭湯の庶民的なイメージを覆すたたずまいだ。

 かつては利用客の大半が高齢者で若い世代はごくわずか。危機感を持った店主の田村慎治さん(53)が十年前に工事を行った。内装も和風モダンに一新。効果が表れ、二十〜三十代の新規客が二倍以上に増えた。

 浴場でのサービスも充実させた。「名湯秘湯全国温泉めぐり」と題して、草津や別府など有名温泉の湯の花を十種類以上取り寄せて毎日露天風呂に利用。田村さんは「やり方次第でどれだけでもできる」と話す。

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 平日の午後一時すぎ。同市月見町の「開発(かいほつ)鉱泉」前にバスが到着し、年配の女性たちが次々と降りてきた。ハンドルを握るのは店主の相地薫さん(43)。県公衆浴場業生活衛生同業組合によると、県内唯一の入浴客の無料送迎サービスだ。

 送迎を始めたのは先代の時代の約二十年前。もともと二階で宴会業をしており、客を送迎するためのバスがあった。周辺の銭湯が次々と店を畳む中、住居に風呂がない団地の住人から送迎を希望する声が出始め、行政から依頼があった。

 相地さんは銭湯を継ぐ前、料理店で板前をしていた。調理師免許を持っており、宴会でも腕をふるう。客は食事の前に湯船につかり、送迎があるため帰りを気にせずお酒を楽しめる。「宴会はやめても風呂は生活の一部ですから」と相地さん。地域住民のために送迎を続ける意志は固い。

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 県内屈指のランニングスポットとして知られる富岩運河環水公園(同市湊入船町)。周辺にある竹の湯、奥井鉱泉、立山鉱泉の三銭湯は四年前から「ランナーズ・スパステーション」を標榜(ひょうぼう)し、ランナーに向けたサービスを充実させている。駐車場や更衣ロッカーを入浴料のみで利用でき、練習後には入浴もできる。

 環水公園から約四百メートル離れた竹の湯には、休日のほか、平日の夕方にも仕事帰りの会社員が訪れる。富山マラソン前の八、九月に利用者が多くなり、多いときで月約百人のランナーが利用しているという。

5年ぶり値上げ440円に

 富山県の銭湯の入浴料は十月一日から五年ぶりに値上げされた。新料金は大人(十二歳以上)が二十円増の四百四十円、中人(六歳以上十二歳未満)は十円増の百四十円、小人(六歳未満)は六十円で据え置きとなる。

 ただ、石川県の大人料金は四百四十円、福井県は四百三十円で、値上げ後も北陸の他県と比べても大きな差はない。

 入浴料の値上げは全国的な傾向だ。全国浴場組合(東京都)によると、富山県を含めて、少なくとも十五都道府県が十月一日から入浴料を値上げ。消費税増税や人件費の高騰が主な要因とみられる。

 

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