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職員法令意識 浸透せず 談合事件で黒部市調査

報告義務「知らない」33人

 今年一月、富山県黒部市職員が逮捕された官製談合事件を受け、市が一般行政職員二百五十九人を対象に実施したコンプライアンス(法令、倫理順守)アンケートで、十八人が直近一年の市の入札で業者や政治家から設計価格、指名業者数などの情報提供を求められたと回答したことが分かった。所属長への報告義務は三十三人が「知らない」とし、コンプライアンス意識が浸透していない実態が浮かんだ。(松本芳孝)

富山県黒部市が情報公開請求で開示した職員コンプライアンスアンケート結果の一部。「『■』と脅迫された」など、一部黒塗されている

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 アンケートは不祥事の再発防止のため、四、五月に無記名方式で実施し、全員が回答。市によると、回答の真偽は確認していない。本紙は情報公開請求でその結果を入手。具体的なやりとりの一部は市情報公開条例に抵触するとして非開示だった。

 結果によると、入札情報の要求は計二十六件。指名業者数十二件、設計価格六件、指名業者名五件、予定価格一件、無回答が二件あった。要求に対する職員の対応は「提供しなかった」が二十二件だったが、業者等に対し、市役所内で指名業者数を情報提供したのが一件あり、同じく業者らに指名業者名を特徴やイニシャルで伝えるなど一部提供したケースが三件あった。

 市民や事業者からの働き掛けに関し、行為内容(複数回答可)で最も多かったのは業務妨害で十二件。入札等で要求が四件、情報漏えいを要求が二件、不利益処分で要求が一件だった。相手は市民が十一人、業者等が六人、政治家一人、職員・元職員が一人だった。

 法令などに違反する行為を求められた場合の所属長への報告義務は「知っている」が二百二十三人、「知らない」が三十三人、無回答が三人。現在の職場でコンプライアンスが重要だという意識が浸透しているかを問う設問では「はい」が二百九人、「いいえ」が三十八人、「その他」が十一人、無回答一人。「個人の意識に差がある」「今回の事件で逆に(コンプライアンスを)認識していない職員が多いことに気付いた」などの自由記述もあった。結果に対し、能沢雄二副市長は「職員は正直に回答してくれた印象だ。黒部市が特別なわけではないと思う」と話した。

通報や調査 公表重要

 行政のコンプライアンス問題に詳しい香川大法学部長、三野靖教授の話 小規模自治体のコンプライアンス対応は住民、業者、政治家との距離が近くてつけ込まれやすく、感覚がまひする恐れがある。公益通報制度は通報者のプライバシーの保護と不利益防止はもちろん、通報内容や調査内容、対応など制度の実績公表が重要。公表することで、不祥事に対応しているとみられ、コンプライアンスがある組織と認識されるのではないか。ポジティブにとらえるべきだ。

小規模自治体対策遅れ 公取委調査で浮き彫り

 公正取引委員会が二〇一七年度に国の機関や地方公共団体などを対象に行った官製談合防止への取り組み実態調査では、人口五万人未満の自治体は職員を談合に関与させないための規程や体制づくり、教育のいずれも遅れている実態が明らかとなった。

 職員が外部から法令に違反する行為を求められた場合に内容を文書化し、上司に報告する取り組みの実施率は最も高い都道府県・政令市は70・1%だが、小規模自治体は9・0%。発注担当職員向けマニュアルの作成率はそれぞれ44・8%、6・1%だった。

 入札に関する問題を検討する第三者機関の設置率は都道府県・政令市の100%、国機関の92・0%、人口二十万人以上の自治体の62・0%に対し、小規模自治体は7・1%。入札談合等関与行為防止法の研修実施率は最も高い都道府県・政令市が64・2%で、小規模自治体は4・8%だ。

 黒部市の官製談合事件 2018年8月の下水道管工事の指名競争入札で、上下水道工務課主任(当時)の男性職員が市内業者に予定価格を漏らし、この業者が落札した。職員は官製談合防止法違反容疑で今年1月に逮捕され、5月9日、一審有罪判決を受け、同日付で懲戒免職になった。市は再発防止策として職員向け官製談合防止マニュアルを作り、予定価格の一部を公表している。このほか、職員倫理規定の作成や内部通報(公益通報)制度の構築を進めている。

 

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