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夏の立山 渋滞深刻 ブームで登山者集中

集団登山で混雑する雄山山頂への登山道=昨年8月、富山県立山町で(佐伯知彦さん提供)

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事故つながる恐れ

 世界最高峰のエベレスト(八、八四八メートル)では今春、登山者の死亡事故が相次いだ。その要因とされるのが、オーバーユース(過剰利用)による混雑だ。登山ブームが高まる中、シーズンを迎えた富山県内の夏山でも混雑による危険が増している。(柘原由紀)

 「一人ずつ登るので二時間は待たされる」。登山歴二十年の会社員沖毅さん(62)=同県高岡市=がため息交じりにつぶやく。北アルプス立山連峰で混雑が問題となっている剣岳(二、九九九メートル)の急な岩壁「カニのタテバイ」のことだ。

 剣岳は雪が残る影響で登れる時期が限られている上、難易度が高い。順番を待っている間に集中力が切れ、事故につながる恐れもある。渋滞を避けようと夜中にヘッドライトを着けて出発する人も多いが、暗い中で岩場を登るのは危険だ。

 雄山(三、〇〇三メートル)も混雑が深刻だ。この季節、県が貸し出す小学生用のヘルメット六百個が在庫切れになるほど小学生の集団登山が集中する。立山黒部アルペンルートで室堂(標高二、四五〇メートル)まで簡単にアクセスできるため、登山ブームに乗じて、十年ほど前から一般登山者が増え、渋滞も顕著に。昨年度初めて開かれた県の安全登山検討会は、夏場の雄山を「明らかにオーバーユース状態」と指摘した。登山道の環境悪化を心配する声も出始めている。

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 日本山岳会の古野淳会長(58)は、山岳会に所属しない未組織登山者が増加していることが問題の一つと指摘する。「登りたい山が実力と乖離(かいり)していても誰も止める人がいない」

 体力の衰えを意識しない中高年や初心者が慣れない岩場を登ろうとすると必然的に時間がかかり、渋滞に拍車を掛ける。県山岳遭難対策協議会のまとめによると、昨年の遭難者のうち未組織登山者と四十歳以上がそれぞれ八割を占めた。

 雄山について、県は集団登山の日程が集中しないよう各校へ呼び掛ける。さらに立山ガイド協会が昨年、登山道の上りと下りで別のルートを作り、すれ違いを避けられるようになった。一方の剣岳について県の担当者は「混むことは分かっており、登山経験のレベルで判断してもらうしかない」と話す。

 今春、エベレストでは十一人の登山者が死亡した。県人初登頂に成功した立山ガイド佐伯知彦さん(40)=立山町=は「気温は氷点下三五度。風が吹くともっと寒い。そんなところで待たされる」と過酷さを語るが、登山料が貴重な収入源となっているネパール政府は規制に踏み込めない。

 登山者の希望と安全をどう両立させるか。日本山岳会は「三百名山」を選定するなど分散登山を勧める。また、県は本年度中に山の難易度評価「グレーディング」をまとめる方針で、力量にあった山選びを促す。しかし、どの山に登るのかは結局、一人一人の判断に委ねられ、自ら技量を高めることが必要となる。

白山でも混雑

危険は少なく

 一方、石川、岐阜両県にまたがる白山(二、七〇二メートル)はどうか。登山愛好者によると、御来光の時間帯や高山植物の時期によっては山頂付近で混雑するものの、急な岩場が少なく、立山ほどの危険性はない。

 

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