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デジタル遺品対策忘れずに 必要な情報 出せぬトラブル増

思い出の写真が保存されたパソコンやスマホ。いざという時、大切な人が見られるように、対策を打っておく必要がある=富山市内で(山本真士撮影)

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データ整理、パスワード保管

 パソコンやスマートフォン(スマホ)の普及に伴い、死後に残される機器やデータ「デジタル遺品」が問題になっている。ロックや故障などに阻まれ、遺族が必要な情報を取り出せない事例が富山県内で増加。トラブルを避けるため、専門家は生前の対策を呼び掛けている。(山本真士)

 県内で昨年秋、独り暮らしをしていた高齢の男性が亡くなった。自宅に残された遺品で問題になったのは、一台のパソコン。男性は生前、このパソコンで遺書を作ったことを周囲に知らせていた。しかし、紙には印刷せず、パソコンのパスワードも伝えていなかった。遺族は遺書のファイルを開けられず途方に暮れた。

 「遺品整理の現場にはほぼ百パーセント、パソコンや携帯電話、カメラといったデジタル機器が残されています」。富山遺品整理本舗(富山市)の社長三国健司さん(45)は、人々の生活の痕跡に表れてきた変化を感じている。全てのデジタル遺品が問題になるわけではなく、廃棄処分を依頼される場合が多いが、遺族が思い悩む例もあるという。

 デジタル機器の復旧やデータ救出を請け負うデータワークス富山(富山市)には二〇一〇年代半ばから、デジタル遺品が持ち込まれるようになった。「保存された写真を見たい」「インターネットバンキングの情報を取り出したい」など、目的はさまざまだ。

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 トラブルのきっかけで最も多いのは、パスワードが分からないパターン。ほかに、機器が故障したまま放置され、起動できない場合もある。過去には、故人がネットで行っていた株取引が死後も続き、遺族が止めた時には損失が発生していた例もあった。

 遺族にとって緊急事態だが、依頼を断る場合も少なくない。依頼主が機器の所有者や相続人だと証明できなければ、盗品や中古品の可能性が残り、情報漏えい、悪用のリスクが消えないからだ。統括マネージャーの石川雅美さん(59)は「困っている依頼主を助けたいが、法令やルール順守のためには仕方ない」と話す。

 そうしたトラブルの予防策として、石川さんは生前の“デジタル終活”を勧める。「ほとんどの人には、他人に見られたくないデータがある。残したいものと残したくないものの整理が最初の一歩」と助言する。整理後は、「エンディングノート」などにパスワードやデータの所在を記すことが有効。金融商品の取引は、中止や家族への引き継ぎといった選択肢もある。

 近年のパソコンやスマホには、顔や指紋などで操作者を特定する「生体認証」が搭載され、専門の業者でもロックの解除が難しくなっている。石川さんは「セキュリティーが高まる半面、いざという時のデータ救出のハードルは上がっている。デジタル遺品のトラブルは今後、ますます増えるでしょう」と予測する。

 

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