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見た目は「ギョッ!」 味は「うおっ!?」 マイナー魚 食べんまいけ

知名度が低いタナカゲンゲで作った総菜やおつまみ=富山県黒部市の魚の駅生地で

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水産資源活用 県内外で販売模索

 スーパーに出回らなかったり、低い価格でしか取引されなかったりする「未利用魚」。グロテスクな見た目、まとまった量の確保が困難、低い認知度…。普及をはばむ要因はさまざま。そうした中、漁業経営の安定や水産資源の有効利用を目指し、富山県内外で販売を模索する動きがある。(山本真士)

 頭が大きく、皮はぶよぶよ。特徴的な見た目のガンコ十匹余が今月中旬、くろべ漁業協同組合(黒部市)の直販施設「魚の駅生地」に並んだ。支配人の川辺二朗さん(56)は「煮ると良いだしが出る。母乳の出が良くなるとされ、この辺りでは産後の女性に料理を食べさせる風習がある」とユニークさを語る。ただ、水揚げ量は限られ、消費は地元にとどまるという。

(上)生産地周辺で消費されているガンコ=富山県黒部市の魚の駅生地で(下)富山から仕入れたヨシキリザメを手にする山本智さん=東京都八王子市の山本鮮魚店で(山本智さん提供)

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 「見た目が悪い」「料理の仕方が分からない」と消費者に避けられる魚は少なくない。一般に知られた魚でも、サイズが小さければ市場の評価は低い。調理の手間は同じなのに、食べられる部分は少ないからだ。魚の駅はそうした魚で干物や総菜を作り、販売している。PRのため、あえて鮮魚として売る時もある。

 東京都内で唯一、富山の魚介類を専門に扱う山本鮮魚店(八王子市)は、タナカゲンゲやカゴカキダイ、カナガシラなど、首都圏ではほとんど知られていない魚を積極的に仕入れている。代表の山本智さん(35)=黒部市出身=は「珍しい食材を好むお客さんもいる。きちんと調理すれば、おいしく食べられる」と話す。

 人気が低い魚を扱うのは「富山湾の魚の豊かさを伝えたいから」。初めて見る魚を敬遠する客には料理法を丁寧に説明する。「『あなたがそこまで言うなら食べてみようか』と買ってくれる。また店に来て『あの魚おいしかったよ』と言ってもらえるとうれしい」

 活用の動きは全国に広がる。横浜市は昨年、小学校の給食で小型のアジやサバを使用。ITベンチャーのポケットマルシェ(東京)はスマートフォンアプリで漁師から直接買える仕組みをつくった。首都圏に店舗展開する居酒屋「四十八(よんぱち)漁場」は、未利用魚を使ったメニューを開発している。

 富山県の漁業は楽観視ができない状況にある。生産額は安定しているが、就業者は減少傾向にあり、燃油費は高騰が続く。川辺さんは「未利用魚の販売は、漁業経営の下支えが目的」と説明し、思い入れを語る。「小さくても人気がなくても他の魚と同じ命。取れたからには大切にしたい」

調理法発見で「出世」も

ノロゲンゲやシロエビ かつては不人気

 調理、加工技術の進化で人気を得た魚もいる。

 「幻魚(げんげ)」として高値がつくノロゲンゲは昔、皮のぬめりや硬い骨が敬遠され、「下魚(げぎょ)」に名が由来するとされるほど不人気だった。漁師も厄介者扱いし、船から捨てることもあった。魚津市の料理店「万両」の初代店主、若井貞克さん(故人)が約三十年前、唐揚げにすると骨が軟らかくなることを発見。看板メニューとなり、他店に広がった。

 「富山湾の宝石」としてむき身で食べられるシロエビはかつて、煮干しやサクラエビの代用品に加工された。殻むきに手間がかかるためだったが、冷凍すると殻がむきやすくなると分かり、評価が急上昇した。

 

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