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農家に選ばれる農協 道半ば 米買い取り JAとなみ野2年目

米の集出荷作業に追われるJA職員ら。買い取り販売による集荷率アップに期待をかける=富山県砺波市五郎丸で(山森保撮影)

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コンビニなど受注 販路開拓 手応え

 JAとなみ野(富山県砺波市)が大きく変わろうとしている。生産者から買い取った米を卸業者などに売り込み、生産者の所得アップを目指している。JAグループの販売組織「全農」に任せる委託販売からの大転換。大手コンビニの弁当や牛丼チェーンの業務用米の受注も獲得した。生き残りをかけた挑戦が続く。(山森保)

 本年産のコシヒカリ一等米は六十キロ(一俵)一万三千八百円−。JAとなみ野が九月二十四日に発表した買い取り価格だ。全国の作況予想や市場の動向を踏まえ、JA全農とやまが一週間前に発表した生産者に仮渡し金として払う概算金より八百円高に設定した。さらに出荷量に応じて奨励金を上乗せする。

 全農に委託していた販売を自らこなし、全農に支払っていた経費分で米を高く買い上げる。この「米の買い取り販売」はJAとなみ野が北陸三県のJAで昨年初めて導入した。自ら売り先を探し、米市況が安値になれば損失を抱えるリスクもあり、商社さながらだ。

 「農家の所得向上はもちろん、集荷率の低下が課題だった」。松本憲一販売課長がそう説明する。二〇〇四年の改正食糧法で、米はほぼ自由化され、集荷業者や卸業者が積極的に買い取りに動き、農家は売り先を選べるようになった。こうした中、かつては生産者からすべて集荷していたが、集荷率は近年六〜七割に低下。高齢化による離農などで農地の集約が進み、経営規模を拡大した農業法人、営農組合が高値の業者を求める流れは強まるばかり。松本課長は「買い取り販売はJAの生き残りをかけた打開策」と話す。

 買い取った米の売り先は全国的な大手の卸会社のほか、首都圏、中京圏の卸会社も。販路開拓には、会社経営の経験もある佐野日出勇(ひでお)組合長が手腕を発揮している。ほかのJAが容易に参入できない理由という。

 生産者の評判は上々だ。砺波市苗加の農業法人「フェルム山川」の山川浩さん(72)は「競争原理が働いてきた」と評価する。集荷業者から一部の売り先をJAに戻した農業法人も。メリットはほかにもある。委託販売では、九月の概算金、年内の追加払いを経て、米の代金を精算するのが翌年十二月。「買い取りでは、すぐに代金、売り上げが分かる。次年度の生産計画が立てやすい」(山川さん)

 ただ集荷業者との競合は今後、激化しそうだ。年間同じ価格で買い取るJAと違って、後出しで生産者に有利な価格を随時提示できるからだ。JAとなみ野は本年産から三十トン(五百俵)以上だった奨励金の支給対象を一気に三十キロ以上に拡大。小口出荷者への配慮と、集荷にかける熱意を示した。

 JAの土田英雄常務理事は言い切る。「手応えはあるが、一度離れた農家が本当に戻ってくれるかは数年ではわからない。あの手この手で信頼関係を深め、買い取り販売を軌道に乗せたい」。選ばれる農協になる取り組みは始まったばかりだ。

 

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