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語る 記す 惨禍伝える 富山大空襲の証言【戦争編】

(上)高校生に富山大空襲の体験を語る佐藤進さん=富山市の龍谷富山高で(下)空襲体験者の証言を記録した9冊の会誌=富山市内で

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 「あと数秒遅かったら、焼け死んでいた」。今月五日、龍谷富山高校の講堂。市民団体「富山大空襲を語り継ぐ会」幹事の佐藤進さん(84)は、二年生二百三十人に切々と語りかけた。

 当時十歳。町に火の手が上がり、兄と川へ飛び込んだ。母と妹も遅れて来た。直後、焼夷(しょうい)弾が爆発。ぬれた布団をかぶり、一家は命を拾った。焼け野原となった街を歩くと、女性や子どもの遺体が横たわっていた。

 「戦争は罪のない人たちを殺すんです。これ以上の犯罪がありますか」。佐藤さんは生徒たちに問うた。

 一九九四年に発足した語り継ぐ会。五百四十回の出前講座で、四万一千人に惨禍を伝えてきた。語り手が高齢化し、近年は佐藤さんがほぼ一人で担っている。

 証言の記録も活動の柱。新たな証言者が見つかることは少なくなったが、過去に聞き取った話は九冊の会誌にまとめてある。事務局長の柴田恵美子さん(71)は「体験者が少なくなっても記録で伝えられる。この本が一番の財産」と話す。

 柴田さん自身が戦後生まれ。会に参加するまで、空襲の被害をほとんど知らなかった。「知ったからには伝えないかん。二度と繰り返してはいけないから」

 あの日から七十四年。この夏も、体験を共有し、犠牲者をしのぶ集いを開く。(山本真士)

 

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