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とやま遺産

砺波の優しさ 石に彫る 万福寺の不動明王像

優しい表情の不動明王像。1000体の石仏を彫ったとされる明治時代の石工・森川栄次郎の作=砺波市太田で

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 野仏を中心に一万五千体を数えるとされる石仏の宝庫・富山。富山の石仏に詳しい尾田武雄さん(71)=砺波市太田=は「砺波、南砺、小矢部の三市だけでも五千体。地元の太田は百四十体と多く、万福寺は見どころの一つです」と話す。

 いまは無住の寺の参道にズラリと並ぶのは三十三観音。観音菩薩(ぼさつ)が三十三の姿に変化してあらゆる人を救ってくれるという信仰に由来する。山門の一角には不動明王像がある。緑がかった石は、砺波市庄川産の金屋石。金沢城の石樋(いしどい)にも使われた軟らかくて加工しやすい石だ。

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 尾田さんは砺波地方に石仏が多い理由として「穀倉地帯で生活が豊かで、心のゆとりもあった。石仏に適した金屋石が産出され、石工も多かったのでは」と推測する。尾田さんの調査によると、砺波地方を代表する明治時代の石工・森川栄次郎は千体の石仏を刻み、万福寺の不動明王は銘が残るわずかな一つという。

 導きがたき難物を強引に屈服させ、仏の教えに導くとされる不動明王は憤怒の表情のはずだが、これは違う。石仏を研究して四十年の尾田さんは「素朴さがあり、心が穏やかになる。この優しさが砺波地方の石仏の魅力です」と話す。 (山森保)

 

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