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とやま遺産

緊張の先 息のむ絶景 黒部峡谷の下ノ廊下

絶壁に沿って造られた下ノ廊下の「旧日電歩道」。はるか下に黒部川が流れる=今年10月、立山町の黒部峡谷で

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 北アルプス黒部峡谷で最も険しく、紅葉の名所で知られる「下ノ廊下」。絶壁に沿った水平の歩道が続く。幅は人一人が通れるほど。はるか下を黒部川がごうごうと音を立てて流れる。緊張の連続だが、紅葉に包まれた絶景に息をのんだ。

 今秋、途中の山小屋に一泊する日程で、欅平から黒部ダムまで約三十キロの下ノ廊下を歩いた。「水平歩道」と「旧日電歩道」で構成される道は、水力発電の可能性を大いに秘めていた黒部川の開発調査のため大正時代に工事が始まり、一九二九(昭和四)年ごろに完成した。

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 岩壁を削ったり、くりぬいたりし、場所によっては丸太を敷いて歩く場所を確保。何本かの素掘りのトンネルもある。当時、測量隊は大きな荷物を担ぎ命がけで運んだ。場所によっては眼下の黒部川まで百メートル以上。落ちれば生存の可能性はなく「黒部にけがなし」と言われてきた。

 その現場に立つと、人間のちっぽけさが身に染みる一方、秘境に足を踏み入れた人間の力に気付かされる。毎年、残雪が消えた後、電力会社や山小屋の関係者が安全に通れるように整備し、登山者らが歩けるのは九月から十月までの一時期。あの景色は今年の心に残る一シーンとなった。 

  (柘原由紀)

 

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