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とやま遺産

黒部ダム殉職者の慰霊碑 大工事の“英雄”刻む

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 「世紀の大工事」といわれた黒部ダムの建設。工事期間中の七年間に百七十一人の命が散った。立山黒部アルペンルートの黒部ダム(立山町芦峅寺)には、殉職者の名前が刻まれた慰霊碑がひっそりとたたずんでいる。

 経済成長著しい戦後の日本は、深刻な電力不足が社会問題となった。大規模な水力発電所の建設地として白羽の矢が立ったのは、豊富な水量と大きな落差を持ち、秘境と呼ばれた黒部川を有する黒部峡谷だった。

殉職者171人の名前が刻まれた慰霊碑=立山町芦峅寺で

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 一九五六年に始まった工事は困難を極めた。資材などを輸送するためのトンネル掘削中に軟弱な地層「破砕帯」が見つかった。毎秒六百六十リットルの地下水と大量の土砂が噴出し、濁水が大勢の作業員をのみ込み、大勢の犠牲者が出た。七カ月を要して約八十メートルの破砕帯を突破した。六三年に五百十三億円の工費と延べ一千万人の人手を要したプロジェクトは完遂した。

 観光客も慰霊碑前では、手を合わせて冥福を祈る。「これは何?」「この人たちのおかげでダムができたんだよ」。そんな親子のやりとりも聞こえる。慰霊碑とともに“英雄”たちの存在は脈々と語り継がれていくだろう。 (酒井翔平)

 

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