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深掘りTOYAMA(BBT連動企画)

井波彫刻 伝統維持へ 転機迎える後継者育成

弟子受け入れやすい制度 模索

 富山県南砺市井波地区の伝統工芸・井波彫刻で、彫刻士の職人が弟子を取って技術を伝える井波ならではの後継者育成策が、新たな段階に差しかかっている。生活スタイルの変化などから、弟子を取らない職人が出るなど現場の環境に変化が生じている。業界では弟子を受け入れやすくする対策の模索が始まっており、日本遺産にも登録された木彫のまちの将来が注目される。(中島健二)

井波彫刻の伝統工芸士、澤義博さん(右)の作業を見守る弟子。後継者育成の今後が注目される=富山県南砺市本町で

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 街を歩くと木を彫る音が聞こえてくる。井波地区中心部の八日町通り。十軒ほどの木彫刻工房が点在するこの通りをはじめ、地区一帯で木彫刻を生産する職人は井波彫刻協同組合の所属で約百二十人に上る。これだけ多くの職人が集まる地域は珍しく、全国からいろいろな受注がある。昨年までに復元された名古屋城本丸御殿の七枚の欄間を手掛けたのも井波の職人だ。

 その後継者づくりを支えるのは、職人が弟子を取る昔ながらの手法。弟子入り期間は五年。その間、地区内にある工芸高等職業訓練校で週一回、制作の基本を学びながら親方職人の技に触れる。井波彫刻士を志す若者は後を絶たず、同組合によると毎年十五、六人の希望者がいる。

 だが、最近は弟子を取らないケースもあり、希望に沿えないことも。ある彫刻士は以前、妻が住み込みの弟子の食事も用意していたが「今は家族の負担がかかるので、同じようにはもうやれない」と打ち明ける。生活が変わってきたことから、住み込みなどが困難になってきたことなども影響しているという。

 伝統工芸士の澤義博さん(53)は岐阜県大垣市出身の女性(23)と東京都青梅市出身の男性(25)の二人の弟子を持つ。「この井波に後継者を残したい。育てた弟子が県外へ帰っても井波彫刻は残る。だから今後も弟子を取っていきたい」と話す。ただ「仕事次第」とも語り、受注の安定に向けた取り組みの必要性も指摘する。

 組合では建築業界などさまざまな業種とのコラボを展開するほか、多彩な新商品づくりにも取り組む。最近では親方が弟子を受け入れやすくするため、弟子に対し、十年間南砺市で仕事をすれば無償になる奨学金制度を市に要望し、市側は前向きな姿勢を示す。

 藤崎秀平理事長は「名古屋城本丸御殿の欄間をさせていただいたのは井波の技術的な結集力、信頼があったから。この火を絶やさずにいきたい」と話し、業界振興に力を込めた。

  ◇     ◇     ◇

 この記事は十八日夕に放送した富山テレビ放送「中島流!深掘りTOYAMA」との連動企画です。中島流の次回は来年一月八日のライブBBT午後六時台に放送します。(放送日は変更になることもあります)

 

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