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深掘りTOYAMA(BBT連動企画)

ALS患者自ら ヘルパー事業 「当たり前の生活 望む人へ」

富山の村下さん 介護受けながら派遣

 全身が動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者の村下秀則さん(32)=富山市=が、介護ヘルパーを雇用し、派遣する事業所を患者として北陸で初めて開設した。自ら介護を受けるほか、当たり前の生活を望む重度障害者の支援にも乗り出している。思いは「重い障害があっても生きようとする人を応援したい」。(蓮野亜耶)

ヘルパーの力を借りながら、自身の生活と会社運営を切り盛りする村下秀則さん(右)=富山市内の自宅で

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 村下さんは二〇一七年夏にALSと診断され、首から下を動かすことができない。二十四時間のヘルパー支援が欠かせず、障害者の自立生活を支えるための国の重度訪問介護を利用しようと、富山県内にある六十近い事業所にヘルパーの派遣を依頼。だが、すべて断られた。できないことが増え「親に殺してくれと頼んだこともある」と明かす。

 そんな村下さんが「度肝を抜かれた」のが、一七年末に東京都内で開かれたALS患者の交流会。呼吸器をつけ、発話できない参加者たちが皆、訪問介護事業所を運営する社長だった。彼らは事業所から派遣されたヘルパーではなく、自ら選んだヘルパーに介護してもらっている。「自薦ヘルパー」と呼ぶ手法だ。

 重度訪問介護は、長時間ヘルパーを派遣できる事業所が少なかったり、事業所の報酬単価が低かったりと課題も多い。それでも、生きるために動き、支援が必要な人に力を貸す彼らの姿を見て「こんなふうになりたい」と強く思った。

 その日から貯金すべてをつぎ込んで、事業所開設に向けて動きだした。「自薦ヘルパー」を取り入れたのは求人や採用、教育は利用者がしなければならないが、採用時に患者が重度障害だから特別な資格が必要なく、患者の生活に合わせ介助してもらえるのが特徴だ。

 八月に「ALS Relation」を設立。ヘルパー九人を雇っており、うち七人が村下さん専属。残り二人は富山市内の患者三人の元へ通っている。

 「熱々のマクドナルドのポテトを食べたとき、生活が戻ってきたんだって。いつも、買ってきてもらったポテトは冷めているから」。ヘルパーとともに生活を始めた村下さんが実感した当たり前の生活だった。

 新たな目標ができた。来年度には福祉タクシー事業を始め、十年後には障害者の立場で制度を変えるために富山市議選に挑戦する。「障害者が好きなときに好きな物を食べたり、出掛けるのは高望みではない。そういった姿を当たり前にしたい」と意気込んでいる。

  ◇     ◇     ◇

 制度のあり方にも注目が集まる重度障害者の訪問介護支援。富山テレビ放送「ライブBBT」(平日午後四時二十五分から)の二十七日午後六時台「中島流!深掘りTOYAMA」は、重い障害のある人たちの暮らしを巡る話題を取り上げます。中日新聞北陸本社の中島健二編集委員が、ヘルパーの不足など現状の問題点を深掘りします。(放送日、内容は変更になることもあります)

24時間介護考える 来月21日講演会

 二十四時間介護保障の実現について考える講演会が十二月二十一日午前十時、富山市の県総合福祉会館「サンシップとやま」で開かれる。村下さんが自身の経験を、介護問題に詳しい中村万喜夫弁護士が現状を話す。定員五十人。入場無料で申し込みが必要。申し込みや問い合わせはALS Relation=電070(4496)9836=へ。

 

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