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深掘りTOYAMA(BBT連動企画)

クマ襲撃 恐怖と教訓語る 昨年6月被害 カメラマン高橋さん

「曲がり角に入る前必ず音を出す」 「ヘルメットや撃退スプレーも」

 立山黒部アルペンルートの美女平で昨年六月、ツキノワグマに襲われ、重傷を負ったカメラマンの高橋敬市さん(68)=立山町芦峅寺。今も立山一帯を中心に精力的な撮影活動を続けているが、当時のことはいまだにトラウマとして記憶に刻まれているという。「でも自分であの場所を確認したい」と今月初め、現場に入り、あの時の恐怖と、それで学んだ教訓を語ってくれた。(中島健二)

昨年6月にクマに襲われた現場で当時を振り返る高橋敬市さん。このすぐ左上にバスが頻繁に通る道路がある=立山町芦峅寺の立山黒部アルペンルート脇の谷で

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 アルペンルートのバスが走る道路を美女平駅から三百メートルほど歩いた所。脇にある乾いた側溝に足を入れて座り込んだ高橋さん。「襲われたのはすぐ横にある谷間。崖を必死に登り、この側溝に座って携帯電話をかけようとしたが、血だらけで気が動転し操作できなかった」。昨年六月五日の昼すぎだった。何とか近くの工事用作業小屋まで行き、救急車を呼んでもらった。

 谷底と道路の落差はわずか数メートル。バスが行き交う音が大きく聞こえる。美女平の駅も案内アナウンスの声が届くほどに近い。そんな谷を駅目指して歩いていると四メートルほどの所にいきなりクマの姿。谷が少しカーブし、樹木で向こうが見えにくい場所だった。

 だから気付かなかったというが「今思えばサルが変な声を出していた。でもクマはいるとは思っていたが出くわすとは考えていなかった」と高橋さん。危険なはずなのに状況に慣れてしまっていた。人の存在を気付かせる笛などを持ってはいたが、使ったことはなかった。その結果、顔をひっかかれ、かみつかれた。

 入院し手術もした。落ち着いてからまた山に入るが心構えが激変した。「曲がり角が特に危ない。そこへ入る前にまずは音を出す。笛を吹いたり、なければ手をたたく。それで、しばらくじっと様子をうかがい、動きがないことを確かめてから行く」。これを怠らない。ヘルメットは必ずかぶり、クマ撃退のスプレーも不可欠だ。

 そんな高橋さん、昨年の負傷は恵まれていた面もあるという。美女平駅に近く、作業小屋もあって人がいたこと。「もっと山の奥へ行くなら一人では絶対に入ってはいけない。もし、昨年もそんな場所だったら、どうなっていたか…」

 アルペンルートには、バス道路以外に遊歩道も整備されている。高橋さんに案内してもらった日も、観光客が歩いて登っていくのが見えたが、高橋さんが襲われた谷のすぐそばを通るし、まさにクマと出くわす可能性が高いエリアの中。「自然を侮ってはいけない。絶えずそれを心掛けることが必要」と注意を促す。

〜出合ったら防御姿勢、傘も有効〜

(上)クマの急襲にはまずこれで。地面に伏して頭や首の後ろを手で覆う(下)傘も役立つと実演する白石俊明学芸員。広げて回すなどする=いずれも富山市内で

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 山の中でも市街地でも、今やクマに出くわす危険はいくらでもある。至近距離で出合ったその瞬間、立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員は、身をかがめて、場合によってはうつぶせになり、両手で頭や首の裏を押さえる姿勢を取るよう教えてくれた。この手法、高橋敬市さんも昨年、襲われた現場で全く同じようにやってみせてくれた。

 白石学芸員によると、クマは長い時間、襲うことはないらしく、急襲して逃げることが多いとみられるという。このため、襲われた際に重傷につながりやすい部分を防御してしのぐために、この姿勢は有効とみられるそうだ。クマとの距離にもよるが傘も使える。開いて動かすと、大きな生き物に見えるし、最初の一撃をかわせる可能性もある。

 

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