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深掘りTOYAMA(BBT連動企画)

描く! ちぎる? 貼る!!…感覚で 脳回路に刺激「臨床美術」注目

臨床美術の講座で北沢教授(右)の説明を聞きながら「立山の初日の出」の制作に取り組む参加者ら=富山県砺波市で

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体験講座訪問「表情や言葉も豊かに」

 独特の制作手法で絵などの作品を楽しみながら作り上げていく「臨床美術」が、北陸でも高齢者福祉や教育など多彩な現場で活用されている。もともと認知症予防などに取り入れられたアートセラピー(芸術療法)だが、最近では、ストレス緩和効果で福利厚生に導入する企業も増えているという。どんな手法なのか? ちょっと不思議なその体験講座を訪ねてみた。

 「きょうは正月らしく、立山の初日の出です」

 今月初め、富山県砺波市の「ものがたり診療所 太田」で開かれた臨床美術の講座。臨床美術士の北沢晃・富山福祉短大教授がこの日のテーマを紹介した。机の上には半紙が一枚。「立山は壁のよう。そこに朝日が昇ると富山側からはシルエットで黒く見えますね」とも。横に置かれたはけと墨汁で自分が思うように立山連峰を描くという。

 参加したお年寄りら十四人は、意外そうな表情ではけを走らせるが、続く北沢教授の指示は立山と空の境で半紙を二つにちぎること。さらに金色の色紙が配られ、ちぎった黒い立山をのりで貼り付けてその上に白い塗料で雪や雲を描く。そこに色つき和紙をいくつも貼って太陽や陽光などをつくれば終わり。あくまで「自分の感覚」を表現することが肝心だ。

 これが手法の一例。写実的に描く通常の描写とは違い、対象物に五感で感じることを表現するのが特徴。普段はあまり使わない脳の回路を使うことになり、活性化されるのだという。

 日本臨床美術協会によると一九九〇年代末ごろから研究が進められ、認知症予防や発達が気になる子どものケアなどに活用されてきた。講師となる臨床美術士は訓練を受けて協会が認定する資格。富山県内は全国でも多く百人を超え、各地で講座が開かれている。石川は十七人。

 高齢者への効果は顕著だとされ、北沢教授は「表情が豊かになるし、今まで使わなかった表現も含めておしゃべりになる」と分析。元気になって健康な時間が延びると評価する。

   ◇

 富山市の富山県水墨美術館で、九十歳前後でも活躍した長寿画家の作品を集めた企画展「愉(たの)しきかな!人生 老当益壮(老いてますます盛ん)の画人たち」が開かれている(二月十七日まで)。九十歳を超えて新境地を求めた作品も数多く並ぶ。創作へのひたむきな姿勢が、そのパワーとなっているのだろう。そこには臨床美術に通じるものがあるのかもしれない。

 富山テレビ放送「プライムニュース BBTチャンネル8」(平日午後四時半から)の二十三日午後六時台「中島流!深掘りTOYAMA」は、中日新聞北陸本社の中島健二編集委員がこの作品群にも触れながら臨床美術に迫り、その効果などを解説します。

 

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