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超軽量そば切り包丁 浜北の橋本エンジニアリングが開発

◆車部品技術応用 マグネシウム使う

マグネシウムを使った超軽量のそば切り包丁。片手で楽々と持ち上げられる=浜松市浜北区で

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 自動車試作部品・金型製造の橋本エンジニアリング(浜松市浜北区)が、実用金属で最も軽いマグネシウムを使ったそば切り包丁の製品化に取り組んでいる。鋼の刃先と強固につなぎ合わせることで、重さ三百四十五グラムと一般的なそば切り包丁の半分以下に抑えることに成功。手の力が弱いお年寄りや女性がそば打ちを楽しめる道具として、来年春ごろの発売を目指す。

 そば切り包丁は刃渡りが三十センチほどと長く、主流の鋼製は七百五十〜八百グラムの重さがある。薄く延ばして畳んだ生地を素早く刻むため片手で持つ必要があり、橋本裕司社長は「体力の衰えから手に負担がかかり、けんしょう炎になる人もいる」と話す。

 包丁を軽くしようと着目したのは、異なる金属の凹凸をかみ合わせて強固に圧着させる「嵌合(かんごう)」の技術。刃先は鋼のまま、上部を軽い金属にすることで全体の重さを格段に減らした。マグネシウムのほか、人体に無害とされるチタンやアルミニウムを嵌合した包丁も開発。それぞれ重さは五百グラム、四百グラムで、使う人がさびにくさや硬さの好みに応じて選べるようにする。

鋼の刃先(下)と異なる金属をつなぎ合わせた嵌合部分=浜松市浜北区で

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 同社はレース車両向けの部品の軽量化で培った技術を生かし、マグネシウムを使った車いすを同業者らと二年前に製品化。評判を聞いた嵌合研究者の朝倉健太郎さんや、その知人で全国ご当地そば伝統継承・推進協議会長の安田武司さんと出会い、超軽量包丁の研究を進めてきた。

 包丁のブランド名は「彩矢(さいや)」。鋼に比べ高価な金属を使うため、価格は十万円程度の一般的な包丁より高くなる見込みだが、橋本社長は「初心者がそば打ちを始めやすく、長く続けられる」と商機を見いだす。

 チタンを酸化して変色させた、カラフルで水洗いしやすいめん棒やふるいなど他のそば打ち道具も考案した。電動化、シェアリング(共有)と自動車業界に変革の波が押し寄せ、部品メーカーも対応を迫られる中、橋本社長は「じり貧になる前に、従来の技術の延長線上で多角化を図る」と前を向く。

(久下悠一郎)

 

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