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旧天竜林業高調査書改ざん 元校長・有罪確定から9年

◆無罪勝ち取るまで戦う

冤罪(えんざい)を訴え、再審請求中の北川好伸さん=愛知県東海市の自宅で

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 浜松市の旧天竜林業高校(天竜高校)元校長の北川好伸さん(71)にとって六日は特別な日だ。大学推薦入試を巡り、調査書改ざんを教諭に指示し、生徒の祖父から現金を受け取ったとして加重収賄罪などで有罪判決が確定して、ちょうど九年になる。取り調べ段階から無罪を主張し、判決確定後も再審を求め続けてきた。審理は進んでいないが、再審への重い扉をこじあけようと、来月にも改ざんの指示はなかったとする補充書を出すつもりだ。

 「友人たちにそっぽを向かれ、家族も苦しんだ。それでも、人に『うそをつくな』と教えてきた自分が、やってないことを受け入れることは、三十三年の教員生活を否定することになる」。愛知県東海市の自宅で北川さんは、悔しそうに語った。

 北川さんは定年退職した二〇〇八年の八月に静岡県警に逮捕され、最高裁まで争ったが、一〇年十二月に、懲役二年六月、執行猶予四年、追徴金二十万円の判決が確定した。「客観的な証拠がないのに、司法は真実を見ようとしなかった」。一四年四月、地裁浜松支部に再審請求を申し立てた。

 有罪の決め手となったのは現金を贈ったとされる生徒の祖父の中谷良作元天竜市長(87)=浜松市天竜区=や、改ざんした教諭らの証言だったが、判決が確定して間もない一一年一月、中谷さんは「金を渡した」とする証言を翻し、北川さんに対面して謝罪した。再審請求審の証人尋問でも「金は渡していない」と明言。「捜査官から『息子や孫と坂を転げ落ちてもいいのか』などと言われ、従わざるを得ない心理状態に追い込まれた」と主張した。中谷さんは本紙に「新しい証言が真実なのは今も、変わらない。北川さんには本当に申し訳ない。無罪になってほしい」と話す。

 しかし、再審請求審で新証言は重要な部分が一貫していないなどとして請求は棄却された。現在は、東京高裁で即時抗告審が続くが、審理は不透明だ。弁護団は「法に再審に関する規定が少なく、審理内容や手続きが裁判官によって異なるのが問題」と指摘。裁判所と検察官、弁護人による三者協議を早く開くよう求めている。

 北川さんは「支援者の中には自分を心配して『小さな事件だから、第二の人生を生きた方がいい』という声もある。でも、汚名を抱えたまま死ぬことは、耐えられない。無罪を勝ち取るまで戦い続ける」と決意している。

(古根村進然)

<大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件> 北川好伸元校長は2006年、生徒2人の調査書改ざんを教諭らに指示。成績評定平均値を水増しした虚偽の調査書を大学に出し、生徒1人の祖父だった元天竜市長=贈賄罪で罰金刑確定=から謝礼の20万円を受け取ったとして加重収賄などの罪に問われた。10年12月6日に懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金20万円の判決が確定した。14年4月に静岡地裁浜松支部に再審請求したが、棄却され、16年10月に東京高裁に即時抗告した。

 

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