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猶予5年 国内資格者確保の壁 浜松の外国人学校

ブラジルで資格を取った保育士(左)と一緒に勉強する園児たち=浜松市東区のイーエーエス伯人学校浜松校で

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 十月に始まった幼児教育・保育の無償化で、外国人学校に付属する幼保施設は原則、無償化の対象から外れた。浜松市などにある一部の施設は、新たに認可外保育施設を設ける手続きをして対象となったが、今後、保育士に日本の保育資格を求めるなどの課題が山積する。無償化の財源となる消費税は外国人も負担するだけに、親や学校関係者からは「外国人を平等に扱わないのか」と声が上がる。

 外国人学校の多くは各種学校に分類される。中には幼保施設を持つ学校もあり、これまでは認可外保育施設としても都道府県などから認められてきた。しかし、国は無償化開始を前に、各種学校に付属する幼保施設は「多種多様な教育を行っている」として、認可外保育施設に当たらないとの見解を示した。

 対応策として、少なくとも静岡を含む東海四県は、幼保施設を外国人学校から分離し、認可外の施設を新設する形を取れば認めることを決めた。

 だが、各施設には壁が立ちはだかる。国は保育所や保育士の不足を踏まえ、国の基準を満たさない施設に五年の猶予期間を設けて無償化の対象とした。基準では施設の面積や設備のほか、日本の保育士資格者の配置を定める。母国で資格を取った保育士が占める外国人学校にとって、基準達成は容易ではない。

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 九月末に手続きをして無償化の対象となった浜松市東区のブラジル学校「イーエーエス伯人学校浜松校」の幼保施設には十人余が通うが、日本の保育士資格者はゼロ。このまま猶予期間を終えると、無償化の恩恵を受けられなくなる。

 長女(4つ)を預ける母のマリア・ミザカミさん(38)は「無償化はうれしいけど外国人も納税者。外国人が適用されない場合がある制度にした理由が分からない」と話した。ド・ナシーメント・ワグネル校長(39)も「幼児教育は国籍に関係なく子どもたち皆が持つ権利だ」と訴える。

 幼年部などを持つ外国人学校は、県内では「イーエーエス」と「ムンド・デ・アレグリア」の浜松市の二校。市によると、ムンド・デ・アレグリアも無償化への手続きを進めている。

◆全国に88施設 多くは対象外

 文部科学省の調べでは、外国人の子どもが通う各種学校の幼保施設は全国で八十八ある。多くは「問題は解決しない」などとして認可外施設設置の手続きをせず、無償化の対象外となった。

 名古屋朝鮮初級学校(名古屋市)の金星年(キムソンニョン)校長は「高校無償化での朝鮮外しと同じ。国が各種学校を排除する形にしたため、ブラジル学校などにも波及したと感じる」と話す。

 外国人学校の幼保無償化を求める滋賀県立大の河かおる准教授は「認可外施設への変更で無償化の対象とするのは、五年限定の目先だけの対応」と指摘した上で、各種学校が厳しい基準を満たして学校開設の認可を受けた経緯に触れ「(付属の幼保施設の)認可を外す国や自治体のやり方はおかしい」と批判する。

(大城愛)

 <各種学校と認可外保育施設> 各種学校は、学校の敷地面積や教員数の基準を満たした上で都道府県知事の認可を受ける。認可外保育施設に設置基準はなく、都道府県や自治体への届け出が原則義務付けられている。日本の保育士資格者数など国の指導監督基準を満たすと、県などから証明書が交付される。

 

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