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県内17社、最終減益や赤字 上場33社

◆中間決算 22社増収

 静岡県内の上場企業三十三社の二〇一九年九月中間決算が出そろった。本紙の集計では二十二社が前年より売上高を伸ばした一方、十七社が最終減益や赤字となった。製造業を中心に米中貿易摩擦や円高の影響が広がり、二〇年三月期(通期)の業績予想を下方修正する企業も目立った。

 継続して比較可能な二十八社の中間決算は、売上高の合計が前年同期比5・5%減の二兆四千八百七十億円、純利益は35・1%減の千十九億円で、三年ぶりの減収、五年ぶりの減益となった。ただ、売上高の七割を占めるスズキの影響が大きく、同社を除けば増収増益。国内需要が好調なハマキョウレックスやTOKAIホールディングスがけん引した。

 通期予想を修正したのは十八社。うちスズキ、ヤマハなど十二社が売上高と純利益の両方、二社が純利益を下方修正した。修正後の通期予想(二十八社合計)は売上高が前期比6・6%減の四兆九千七百九十一億円、純利益は19・0%減の千八百五十四億円で、減収減益となる見通しだ。

 集計は県内に拠点を置く上場企業(銀行を除く)が対象。継続比較では、会計基準を変更したヤマハ、ユタカ技研、エフ・シー・シー、巴川製紙所と一七年上場のミダックを除いた。

◆米中摩擦 製造業を直撃 自動車、インド低迷影響

 「下期は米国向けの農機用変速機も厳しくなる」。自動車部品を手掛けるユニバンス(湖西市)の谷典幸社長は決算会見で米中摩擦の影響を語った。

 米国から中国への穀物輸出が激減し、農機の需要が冷え込むという。米国は乗用車市場も不振で、販売回復は厳しいとみて通期予想を下方修正した。

 浜松ホトニクス(九月期決算)は、中国の設備投資抑制が響き、三年ぶりに最終減益となった。森和彦管理部長は「米中摩擦による中国経済減退の影響をまともに受けた。(今期の)上期も厳しい」と話した。

 天龍製鋸(袋井市)は、米国が発動した報復関税により、中国で生産する住宅資材用のチップソー(丸のこ)に25%の関税が課せられるようになった。大石高彰社長は、他社との競争を念頭に「値上げは難しい。米国の利益を押し下げられた」と嘆いた。既に一部の品目はタイなどに生産を移管したという。

 こうした動きのあおりを受けた企業も。取扱説明書製作のクレステック(浜松市東区、七〜九月期決算)は、取引先の日系メーカーが中国から他地域へ生産を移す動きを強めたことが減収減益の要因になった。

 このほか、フジオーゼックス(菊川市)や桜井製作所(浜松市東区)も、米国や中国向けの自動車部品の販売減少を見込み、通期予想を下方修正した。

 スズキをはじめ、インドの自動車市場低迷の影響を受けた企業も多い。

 車載電装品製造のASTI(南区)は、現地で手掛ける日系メーカー向けが軒並み低調で営業減益に。鈴木伸和社長は「利益面でインドの影響が大きかった。来年半ばまでに回復すればいいが、もう少し延びるかも」と不安を口にした。

 ヤマハ発動機(一〜九月期決算)も二輪車の販売で苦戦。野田武男執行役員は「市場全体が前年を二割下回る状況。来年も大きな伸長は難しい」と厳しい見通しを示した。クラッチ製造のエフ・シー・シー(北区)もインドで二輪車向けが伸び悩み減収減益。通期予想を下方修正した。

 県内の上場企業の九月中間決算は、米中貿易摩擦の影響が製造業のさまざまな領域に広がっている実態を浮き彫りにした。自動車や設備投資関連の需要が伸び悩み、自動車ではインド市場の低迷も打撃となった。世界経済の先行きは不透明で、下期の経営環境の見通しにも不安が漂っている。

(山田晃史、久下悠一郎、鈴木啓紀)

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