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庁舎浸水、対策急げ 県内13市町が想定区域に

台風19号の影響で浸水した宮城県丸森町役場(中央)周辺=10月13日

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 十二日で上陸から一カ月の台風19号と一連の豪雨では、宮城県丸森町や茨城県大子町などで庁舎が水没し、大きな被害を受けた。被災により自治体庁舎が使用不能となった二〇一五年の関東・東北豪雨や一六年の熊本地震といった教訓を踏まえ、国は庁舎の改修や移転を促してきた。しかし、災害時に対策本部が設置される庁舎が浸水想定区域内にある自治体も多く、危機意識の希薄さを指摘する声もある。

 「役場の孤立が災害対応の初動に悪影響を及ぼした可能性は否めない」。庁舎が二日間にわたって水没した丸森町。周囲との通信も寸断され、アクセス手段も一時はボート頼みだった。担当者は「何らかの改善が必要だが、簡単ではない。復旧が進み、区切りがついたら考えたい」と話す。

 庁舎損壊が相次いだ熊本地震を受け、国は一六年度末で終了予定だった緊急防災・減災事業債を二〇年度末まで延長。自治体が庁舎の耐震化工事などを迅速に進められるよう、関連経費の七割を国が負担することで早期の対策を促した。

 丸森町も浸水に備え、国の財政支援で庁舎周辺に排水ポンプを設置するなど一定の対策を講じたが「降雨量が想定をはるかに上回った」(同町幹部)という。

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 大子町は庁舎の移転を検討中に被災した。来年二月に着工するはずだった新庁舎の予定地も浸水したため、計画の見直しを決めた。

 総務省消防庁によると、災害対策本部となる庁舎が河川氾濫や津波などの浸水想定区域にあるのは昨年六月時点で七百七市区町村。こうした庁舎では、非常用電源を屋上に置いたり、周囲に止水板を設置したりといった対策が必要となる。だが百九十自治体は浸水対策を取っておらず、七十一自治体は非常電源の用意がなかった。

 自治体の防災施策に詳しい静岡大防災総合センターの岩田孝仁教授(防災学)は「庁舎の移転や大規模改修が難しい場合でも、非常用電源も含めて危機管理機能を安全な上層階に移すなど今すぐ着手できる対策は多い。各自治体は今度こそ学ぶべきだ」と訴えた。

 静岡県によると、八市(静岡、沼津、島田、焼津、藤枝、袋井、下田、牧之原)と五町(東伊豆、南伊豆、松崎、西伊豆、森)の庁舎が浸水想定区域にある。下田市と南伊豆、森町を除く十市町は、非常用電源を屋上に置くなど河川の氾濫や津波対策をとっている。南伊豆町は二〇二〇年中にも対策を取る計画で、森町は「検討中」とする。下田市は二一年に浸水想定区域外に庁舎を移転する。

 静岡市では、清水庁舎の移転を巡って紛糾。災害時に区の対策本部を設置することになる現清水庁舎も、二三年の業務開始を予定する新庁舎の移転先も、ともに津波浸水想定区域に立地する。移転に反対する住民団体が今月下旬から、計画の是非を問う住民投票の実施を求めて署名活動を始めるほか、川勝平太知事も「浸水域にわざわざ移転するのは常軌を逸する」と一貫して批判し続ける。

 市によると、想定される津波浸水の深さは現庁舎で約一・五メートル、新庁舎で約二・二メートル。新庁舎は一階部分を柱のみの構造にして、津波をやり過ごす方法を検討している。現庁舎は高さ一メートルの止水板しかなく、地下二階にある電源設備が機能しなくなる可能性が高いため、地上四階に設置する非常用電源で災害対策本部の機能を維持する予定。津波の発生時間などによっては約一・五キロ内陸にある清水消防署に区本部を立ち上げることも想定する。

 現・新庁舎いずれで津波が起きても、市危機管理課の担当者は「区本部が一時的に孤立する可能性はあるが、主な業務となる情報収集機能には問題ないと考えている。発災直後に住民が区本部を訪れる場面も想定しにくい」と話している。

(岸友里、五十幡将之)

 

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