トップ > 中日新聞しずおか > 朝夕刊 > 記事

ここから本文

朝夕刊

昨年の大規模停電教訓に 浜松市民は早めの避難

避難所で不安な一日を過ごす住民ら=12日、浜松市南区の芳川小で

写真

 浜松市は十二日、避難所六十カ所を開設し、早朝から住民が身を寄せた。昨秋、地元を襲った台風24号による大規模停電を記憶する住民らは早めの避難に徹し、台風の猛威が過ぎ去るのを待った。

 最大で二十四世帯五十人が避難した南区の芳川小学校の体育館。授業で使うマットが壁沿いに敷かれ、避難者たちは持ち寄った布団をかけて横になるなどして過ごした。時折、不安そうに窓から雨の状況をのぞく姿も。無職西村なつ子さん(71)=四本松町=は「ニュースで『最大級』と聞き、不安になった」と午前七時ごろ、友人女性と一緒にやって来た。千葉県を襲った九月の台風15号による大規模停電が頭をよぎり、災害で初めて避難したという。

 大雨特別警報が発令され、雨風の激しさが増すと、体育館の一部で雨漏りが。ぬれない場所に移動する避難者もいた。

 農業林本保男さん(62)=鼡野町=は、体が不自由だったり、介護が必要だったりする近所のお年寄りに声を掛け、三世帯六人で避難した。「近所の人を放っておけない。危ない時こそ助け合いが大事」と話した。

 天竜区の市二俣協働センターには、十一世帯十七人が避難した。近くの柏崎吉蔵さん(79)は夏に病気で入院し、妻の幸子さん(78)は腰を手術したばかりで動きづらい。吉蔵さんは「避難を体験するのもいいかなと考えた」と話した。

 独り暮らしのお年寄りや子ども連れら二十九世帯四十六人が身を寄せた南区の河輪小学校の体育館。午前八時すぎに避難した曽布川澄子さん(82)は「隣のご夫婦と一緒に来た。顔見知りの方と話もできるので安心」と胸をなでおろした。

 十二日午後四時現在、浜松市内では九百七十人が避難した。昨年秋の台風24号で上陸直後の避難者が百九十一人だったのと比べ、五倍以上増えた。

 市防災学習センター長の大石隆示さんは「昨年の台風24号や(千葉県で大規模停電が起きた)今年の台風15号で、薄かった危機管理意識がガラッと変わったのではないか」と避難者が増加した背景を分析。「『大したことではない』と軽く考えず、自分の命を守る方法を日頃から考えることが大事だ」と強調した。

 防災システム研究所(東京)の山村武彦所長も「危機意識が高まったことや、三連休の初日で家族がそろっていたことなどが影響したのではないか」と指摘。「避難勧告は全域に出すのではなく、浸水や土砂崩れのリスクが高い世帯に個別に出すと避難率は上がる」と自治体側に工夫を求めた。

(久下聡美、坂本圭佑、松島京太)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索