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吉野さんノーベル賞 10年間、富士の研究室長

吉野さんの受賞を喜ぶ加藤仁一郎・旭化成富士支社長(左)と大和田敦史同支社富士総務部長=9日、富士市で

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 「絶対取る」という信念と「まさか」の気持ち−。今や生活に欠かせないリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は、九日夜に東京都千代田区の旭化成本社で会見し、喜びと開発の苦労を語った。富士市の同社富士支社で二〇〇五年から十年間、研究を続けた吉野さんを知る支社長らも祝福した。

 吉野彰さんは静岡県内にも多くの足跡を残している。吉報にゆかりの人たちも喜びを爆発させた。

 「信じていた。ついに来たか」。受賞を待ち続けていたという旭化成富士支社(富士市鮫島)の加藤仁一郎支社長(59)が声を弾ませた。吉野さんは二〇〇五年八月から十年間、支社内に設けられた「吉野研究室」の室長として新しい電池の開発を続けていた。その成果と志は社内の研究開発センターなど各部門に引き継がれているという。

 「何度も実験・試作を繰り返した結果が成功に結び付いたのではないか」と加藤さん。優れた発想力があり、失敗を恐れない。その上で「研究だけでなく、企業として『どう売るか』もしっかり考えておられた」と称賛する。

 同支社の大和田敦史・富士総務部長(56)は以前、素材の売り込みで吉野さんに助力してもらった時のことをよく覚えている。「重職の方なので緊張したが『わかった、わかった』と気さくで、すべて言わないうちに『こういうことだろう?』と理解されていた」と振り返る。

 吉野さんの素顔はかなりの酒豪で冗談好き。時々、関西弁でジョークを飛ばす。「しっかり研究を続ければ(ノーベル賞という)成果に結び付くということを、社員にも励みにしてもらいたい」。加藤さんがまた笑った。有力候補と言われ続けてきただけに、元支社長の中村淳さん(63)=富士市=は「びっくりしましたが、そろそろとも思っていた。大変喜ばしい」と語った。

 一方、リチウムイオン電池の研究をしている静岡大工学部電子物質科学科の嵯峨根史洋講師(41)は「研究者は良い結果が出たら終わりという人も多いが、吉野先生は結果を商品として応用できるよう、さまざまな課題を解決した点が大きい」と分析。以前、吉野さんの講演会に参加した際「新たな可能性を常に追求することの大事さを説いていた」といい、「今回の受賞は同じ研究者として励みになる」と話した。

(前田朋子、篠塚辰徳、鎌倉優太)

 

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