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朝夕刊

浜松・造形作家 13年かけ工房完成

◆第二の人生 長野で創作

今年5月に完成した工房と原さん=長野県売木村で

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 元高校教員で造形作家の原納(おさむ)さん(62)=浜松市西区=が今年五月、長野県売木村の静かな森の中に、創作活動のための工房を完成させた。主に鉄の彫刻を手掛け、富嶽ビエンナーレ展や静岡県芸術祭賞など数々の受賞歴がある原さん。教員時代から何度も村に通い、工房完成まで十三年を要した。来年ごろから本格的な創作活動を始める予定で「第二の人生を創作にささげたい」と意気込んでいる。

 原さんは長野県飯田市生まれ。父親の仕事の都合で、浜松市で育った。大学卒業後は東京で流通業に就職したが、「企業の歯車になりたくない」と三十四歳で高校教員に転職。農業高校で土木や造園技術を教えた。

工房で制作途中の鉄の彫刻作品=長野県売木村で

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 「子どものころから器用だったが、美術の成績は良くなかった」と笑う原さんが美術に目覚めたのは、天竜林業高校(浜松市天竜区、現天竜高校)で環境研究部の顧問を務めたとき。鉄や木材の加工、絵画などさまざまなものづくりに生徒たちと取り組んだ。鉄の彫刻の技術も、技術書を読み独学で身に付け、数々の芸術展で入賞した。

 工房は、二十五年前に趣味の渓流釣りの拠点のために購入した売木村の土地で、十三年前から造り始めた。平日は学校で働き、休日に何度も売木村へ通った。かつての教え子も駆け付けて手伝い、今年五月、ようやく創作活動ができる状態になった。

 原さんは二十五年前に建てた母屋周辺も整備。教え子が制作した作品などを飾り、一帯を「うるぎの森美術館」と名付けた。村民の間で「まるでジブリの世界のよう」ともささやかれている。

 「鉄がさびることで作品が変化する。鉄は生きている」と鉄の魅力を語る原さん。工房完成後、一度は創作を始めたものの、現在はもっぱら傷んだ母屋の修繕に追われているという。「凝り性で。気になっちゃうと集中できないんだよね」と苦笑しながら「これからは現代美術の大胆な作品など、好きなものを作りたい」と夢を膨らませている。

(寺岡葵)

 

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