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住民に広がる自助意識 浜松大停電から1年

◆家電使えず不便生活

太陽光発電のパネルが設置された屋根が目立つ住宅地=浜松市西区で(ドローンから)

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 全国でも年間の日照時間が長い浜松市。住宅地では屋根に太陽光発電のパネルをつけた住宅が目立つ。「これで、ドライヤーを使えるなんてねえ。知らなかった」。西区の会社員杢谷(もくたに)秀人さん(60)は、自宅のブレーカーのそばにある太陽光発電の制御盤に目を向けた。

 娘夫婦と孫の七人暮らし。電力会社が家庭などから毎月決まった価格で電気を買い取る制度に目をつけ、五年前にパネルを取り付けた。電気を売った収入を月々の電気代の一部に充てている。しかし、停電時も電気を使える「自立運転機能」を知らなかった。「昨年の台風24号の停電で二日間、冷蔵庫の食材が冷えず、電気式のトイレの水も流れなかった」

 県エネルギー政策課の担当者は「ほとんどの太陽光発電についている機能だが、自立運転機能や切り替え操作を知らない人が多い」と話した。

 台風24号の大規模停電を受け、県が昨年十一月、太陽光発電を導入した世帯を対象にしたアンケートを行い、千五百六十七世帯から回答が集まった。そのうち、停電時にその機能を知らなかったり、使い方が分からなかったりした世帯は二割弱だった。県は販売業者やメーカーでつくる協会に対し、設置時に住民に機能を詳しく説明するよう求めた。

 ただ、一般家庭の太陽光発電は晴れた日中に冷蔵庫一台が使える程度のものが多く、電気式のトイレの水は流せない可能性が高い。夜間にも生かすには蓄電池が必要になる。

 浜松市は今年から、蓄電池の補助金を二万円増やし、十万円に設定した。五月の受け付けから三カ月で申請は百件を超え、例年にないペースで推移している。市の担当者は「大規模災害時にも家庭でエネルギーを確保でき、地域の暮らしを守ることにもつながる」と話す。

 実際、大規模停電の時、磐田市の農場は、ビニールハウスに設けたパネルで発電した電気を蓄電池にため、住民に開放した。復旧するまでの二日間、二十人がスマートフォンを充電したり、炊飯器で米を炊いたりした。「ハウス内のブルーベリーに自動で水やりなどをするのに使う電気を役立てた。ハウスが交流の場のようなにぎわいだった」と、農場に設備を取り付けたパネル設置の専門会社「スマートブルー」(静岡市)の荒木慎吾専務取締役(47)は振り返る。

 大停電の二カ月前、地元自治会と災害時に電力供給するという協定を結んだばかりだった。

 今月九日、台風15号が上陸した千葉県では大停電が発生し、二週間以上たった今も全面復旧していない。荒木さんは一年前の大停電を振り返りながら「スマホの充電もできずに困った人も多い。地域の防災に生かせる農場を全国に増やしたい。周りの人が気軽に使えるようになれば」と話した。

(古根村進然、沢田佳孝、坂本圭佑、糸井絢子が担当しました)

 <太陽光発電パネルと蓄電池の費用> 一般的な家庭用の太陽光発電パネルの平均的な価格は150万円。浜松市では設置家庭に一定の条件を満たせば3万円を補助している。太陽光発電でできた電気をためる蓄電池は、冷蔵庫、テレビ、照明1台を約20時間動かせる約6キロワット時のもので200万円前後。浜松市は一律10万円を補助。太陽光パネルと蓄電池をセットで設置した場合、国から一定の補助がある。

 

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