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リニアトンネル工事 静岡市長「抜け駆け」一蹴

◆林道改良で千載一遇の振興策

JR東海との合意について「合意形成をつくっていくのは政治家の使命」と話す静岡市の田辺信宏市長(立浪基博撮影)

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 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、建設予定地が立地する静岡市の田辺信宏市長は本紙のインタビューに応じ、県道トンネルの建設や林道改良でJR東海と合意したことに触れ「政治とは利害調整。それができるのが政治家」と述べた。大井川の流量減少問題でJRと対峙(たいじ)する県や流域市町からの「抜け駆け的」との批判を一蹴した。

 静岡市は昨年六月、建設予定地・井川地区の地域振興策として、県道三ツ峰落合線に接続するトンネルの整備でJRと合意した。当初、総工費百四十億円のうち百億円の負担を求められたが、最終的にJRの全額負担で決着。合意を知らされていなかった県は猛反発し、文書で抗議した。

 県や大井川を水源とする流域市町と、主に安倍川を水源とする静岡市が、JRとの協議で一枚岩となれない端緒になったが、田辺市長は「最後は(JR東海の金子慎社長と)トップ会談し、金子社長が全額負担しましょうと。コンセンサス(合意)をつくっていくのは大きなリーダーの使命」と語った。

 静岡市は今年七月、工事車両が通行する林道東俣線の改良でも合意。総工費八十億円はJRが負担し、工事後は生活道路になる。田辺市長によると、旧井川村が一九六九年に市と合併した条件に「道路整備」が含まれていたといい、「千載一遇のチャンスだった」と述べた。

 本紙のインタビューを通じ、大井川の中下流にある島田市の染谷絹代市長は「(求めるのは)水の保障だけ」とさらなる説明を、上流にある川根本町の鈴木敏夫町長は道路などインフラ整備をJRに求めた。川勝平太知事は「リニア開業と南アの保全を両立させる腹案はある」と語り、着工同意の条件に何らかの代償を求める考えも示したが、手の内は明かしていない。

 立場は三者三様だが、田辺市長は「今頃、金銭補償と言ったって、交渉にはタイミングがある。(川勝知事には)スピード感を持って、とにかくJRと合意に向けてリーダーシップを発揮してほしい」と求めた。

 (岸友里、広田和也)

一問一答

 −トンネルや林道整備でJR東海と基本合意したことに、「抜け駆けだ」との批判がある。

 政治家の本質は、利害調整で人々の生活を豊かにすること。民主主義だから賛成、反対は必ずある。そこでコンセンサス(合意形成)をつくっていくのは大きなリーダーの使命、政治家の使命だ。

 −なぜ基本合意を。

 JR東海には、2027年までに開業するというミッションがあった。昭和の大合併時代に合併した井川村(現・静岡市葵区井川)にとって、県都へのアクセスが悲願。市だけではできない中で、リニアの話は千載一遇のチャンスだった。

 −どうやって合意にこぎつけたのか。

 最初は市に100億円の負担を求められたが、最終的にはトップ会談になった。虚心坦懐(たんかい)で金子慎社長と話し、最後に「分かりました、全額負担しましょう」と譲ってくれた。僕はこれがピークだと思った。「中下流域にも配慮して誠実に対応する」という一文を入れたことも担保し、合併50年に間に合わせることができた。

 −愛知や三重など沿線自治体は、このままでは開業時期に影響すると危惧している。

 ぜひスピード感を持って、とにかくJR東海と合意に向けてリーダーシップを発揮してほしい。

 

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