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代表作「ユーフォニアムに光」 京アニに感謝

◆設計担当のヤマハ元社員

「ユーフォニアムを描いてくれた京アニに感謝している」と語る原田実さん=浜松市中区で

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 アニメ制作会社「京都アニメーション」の作品は、音楽文化の盛り上げにも貢献してきた。高校吹奏楽部の人間模様を描いた「響け!ユーフォニアム」は代表作の一つ。ヤマハ(浜松市中区)の元社員で金管楽器ユーフォニアムの設計に携わった原田実さん(69)=中区富塚町=は「マイナーな楽器に光を当ててくれた。人ごとではない」と心を痛めている。

 原田さんは静岡大を卒業後、ヤマハの前身の日本楽器製造に入社。化学が専門で当初は製品の接着剤や塗料の部署に回されたが、楽器造りを希望し続け、三十歳の頃に初めて任されたのが、吹奏楽で用いられるユーフォニアムだった。

 トランペットやトロンボーンのような華やかさはないが、「低い音階でメロディーを響かせ続ける重要なパート」と原田さん。自身が高校の吹奏楽部で担当した「原点」でもあった。

 当時の製品は音を調節するピストンが全て右手側に並び、四番目のピストンを力が弱い小指で動かすのが難しかった。原田さんは、手が小さな人でも扱えるように、四番目を側面に配置して左手の人さし指で押さえるようにした製品を設計し、今も販売されている。

 ヤマハは「響け!」の制作に際し、楽器の画像を京アニ側に提供。見えない部分や指使いの作画に役立ててもらうため楽器の貸し出しにも応じた。「主役」のユーフォニアムは京アニ側が実際に購入。原田さんが設計したピストンの配置も忠実に再現されたといい、「そのものずばりの題名はもちろん、丁寧な仕事ぶりに驚いた」と振り返る。

 原田さんはその後、電子ドラムの開発などに携わり、退職後は地元でジャズドラマーとして活動する。事件について「多くの人に喜びを提供する作り手のやりがいは、楽器もアニメも同じ。志半ばの人たちの未来が奪われたことが許せない」と憤り、「残った人が強い意志を持ち、若い人を再び育て、活躍してほしい」と祈る。

(久下悠一郎)

◆イラスト使い販売促進

 ヤマハは「響け!ユーフォニアム」がアニメ化された二〇一五年以降、子会社のヤマハミュージックジャパン(YMJ、東京)を中心に、作品と連動した楽器の販売促進活動を展開。京アニは書き下ろしのイラストも担当した。

 YMJの営業担当者は、ヤマハ広報を通じて「イラストは京アニの皆さまの心がこもった素晴らしい作品で、アニメや吹奏楽のファンに愛されてきた」とコメント。

 事件について「私どもにとっても大きな衝撃であり、今も信じられず言葉にならない」とつづった。

 

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