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いじめ調査に新尺度 浜医大など開発

◆国際比較可能に

 浜松医科大や子どもの発達科学研究所(大阪市)でつくる研究グループは、新たにいじめの実態を把握する調査の方法として、「日本いじめ尺度」を開発したと発表した。現在の文部科学省のいじめ定義と比べ、国際的定義に近く、外国との比較や新たな対策の導入に役立つという。研究者や教育委員会が利用できるように夏ごろまでに、研究所のホームページで公開する。

 文科省のいじめ定義は時代とともに変遷し、二〇一三年度から施行されているいじめ防止対策推進法では「行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」などとなっている。いじめはアンケートや個人面談などを通じ、学校に認知される。一七年度の全国の小中高校における件数は四十一万四千三百七十八件。この定義に基づく調査では最多だったが、過去の異なる定義による調査とは比較できない。

 また、諸外国の定義に多い「力の不均衡」「加害側の意図」「繰り返し」の三要素を含んでいないため、他国の事情と比べるのも困難なのが実情だ。

 研究グループが開発した新尺度は、これら三要素を考慮したうえで、「身体的いじめ」「ことばのいじめ」「仲間外し」「インターネットいじめ」など九種類のいじめについて実際の「被害」や「目撃」の有無、頻度を問う。いじめの種類を問わず、いじめをしたことがあるか加害経験についても尋ねる。

 研究グループは新尺度の有効性を確認するため、一五年十二月に中部地方の小中学生二千三百三十四人を対象に調査を実施。回答データを最新の統計学的手法で解析したところ、各質問項目や回答との間に矛盾はなく、十分な信頼性が確認できたという。

 研究グループによると、新尺度を使うことで、共通項の多い国際的定義を使った調査とも結果を比較できる。〇一年の日本を含む四カ国の国際比較調査とも、厳密ではないが、比較が可能だ。

 いじめ被害にあった児童・生徒の割合を比べたところ、同調査が13・9%だったのに対し、今回の調査では35・8%に。この約二十年で大幅にいじめ被害が増えていると推定できるという。

 このほか、いじめの目撃者は32・8%で、英国やオーストラリアといった国の60%台に比べると明らかに少ないことが分かった。子どもの発達科学研究所の大須賀優子主任研究員は「日本は海外に比べると、いじめが周囲の人から見えない所で起きているか、いじめの定義があいまいなため、周囲の人のいじめに対する認識が明確でない可能性がある」と話し、さらなる分析が必要と訴えた。

 研究成果は、日本精神神経学会の英文雑誌で十二日に公開された。

(鎌倉優太)

 

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