トップ > 中日新聞しずおか > 朝夕刊 > 記事

ここから本文

朝夕刊

養女に性的暴行公判 冒陳やり直し 検察に要求

 十四歳の養女に性的暴行したとして、監護者性交等罪に問われた男(38)の公判で、静岡地裁が検察に異例の冒頭陳述やり直しを求めた。検察は十七日の第八回公判にも、二度目の冒頭陳述をするとみられる。同地裁の訴訟指揮に対し、「裁判所の中立性が揺らぐ」と批判する法曹関係者もいる。

 「被害者の供述の信用性に重大な疑問が生じている」。五月十五日にあった第七回公判で伊東顕裁判長は指摘した。検察に冒頭陳述のやり直しと、追加証拠の提出を求めた。

 起訴状などによると、男は昨年五月、焼津市の自宅で、同居する養女と性行為などをしたとされる。養女は、男が二〇一六年に結婚した女性の実の子で、事件当時は三人暮らしだった。その後、男は離婚し、現在は養女ではない。

 男は否認し、無罪を主張。弁護側によると、起訴内容は客観証拠に乏しく、元養女の証言の信用性が最大の争点となっている。

 公判で弁護側は被告の陰部は湿疹がひどく「(性行為の過程で)一見して分かる」と主張した。湿疹の存在を認めた元妻に対し、元養女は週一、二度性的な行為をしたと証言したが、被告の陰部の特徴を「特にない」と答えた。

 この証人尋問を受け、伊東裁判長は「(被害者証言の)疑いが解消されない限り、裁判は進められない」と述べ、冒頭陳述のやり直しを求めた。昨年八月の冒頭陳述では、検察は湿疹に触れていない。

 刑事訴訟法は検察側の冒頭陳述を「証拠調べのはじめに、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない」と規定する。通常は初公判時に検察側が読み上げ、証拠調べや被告人質問、論告求刑、弁論、陳述などと続き、判決が言い渡される。

 男の公判では既に証拠調べや被告人質問を終えている。

 元裁判官の木谷明弁護士は「検察が主張した事実を立証できれば有罪、できなければ無罪と判断するのが裁判所の役割。立証が済まない段階で検察側に注文するのは、裁判所の中立性に反する。今後の展開は読めない。極めて変則的な訴訟指揮」と批判する。

 性犯罪、とくに家族間は客観証拠に乏しく、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「被害者の証言しか証拠がない場合、立証は難しい」と指摘する。

 伊東裁判長は三月、長女に乱暴したとして強姦(ごうかん)罪(現・強制性交)などに問われた別の被告に「被害者の証言は信用できない」として強姦罪では無罪を言い渡している。

(牧野新、福島未来)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索