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男女共用トイレ使用中 浜松など6政令市小中学校

体育館に残る男女共用トイレ=浜松市中区の佐鳴台小で

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 男女の区別のない共用トイレが、全国の政令指定都市のうち浜松、名古屋、広島など六市の小中学校で残っていることが、本紙の取材で分かった。多くは体育館や校舎の端にある利用頻度が低いトイレ。高額な工事費用や拡張スペースの確保が壁となり、改修が後回しにされている。

■高い改修費用

 本紙は四〜六月、二十政令市の市教委に電話取材やアンケートを行い、校舎と体育館内の男女共用トイレ(多目的トイレは除く)の有無を聞いた。

 最も多かったのは広島市の小学校五十校、中学校三校。次いで名古屋市の小学校三十七校、中学校二校。浜松市でも小学校三十五校に上った。静岡、京都、熊本市でも若干残っていた。

 各市教委によると、男女共用トイレが残っている施設の多くは昭和四十〜六十年代に建てられ、未改修のまま放置されてきた。改修する場合、簡易な間仕切りとせず、新しいスペースを設けると大掛かりな工事となる。浜松市では、一件当たり一千万円程度の費用が見込まれるため、トイレの洋式化工事などが優先的に行われてきた。

 衛生陶器大手TOTO(北九州市)の社員で、学校のトイレ環境改善を関連企業間で検討する「学校のトイレ研究会」の井尾加奈子主任研究員は「確かに昭和期の日本は狭い土地に学校を建てたため男女共用トイレが多かったが、いまだに残っていることに驚く。施設の老朽化対策の遅れでトイレ改修まで手が回ってないのでは」と分析する。

■体育館後回し

 浜松市では、二〇〇四年の市議会本会議で市内の小学校校舎に男女共用が残っていることが指摘され、校舎内は全て男女別化された。だが、体育館のトイレは利用頻度が低いため十年以上手付かずとなっている。

 同市教委は一九年度、学校施設整備事業費の中で工事設計の予算を確保。二〇年度からようやく改修に乗り出す。花井和徳教育長は「避難所に指定されているかなどを考慮し、トイレの男女別化を少しずつ進めていきたい」と話す。

 名古屋市では、小学校十七校の校舎に男女共用が残る。多くは一階の端にあり、教員が使用を控えるように指導し「実害はない」(同市教委担当者)というが、中には来校した大人も使用できるトイレもある。

■悪影響指摘も

 広島市は校舎と体育館に男女共用が多数残るが、同様の理由で改修が進んでいない。一方で、男女共用がゼロの新潟市では、市教委担当者が「ずっと前からそんなものは無い。逆に他都市ではあるのか」と驚く。

 井尾主任研究員は「男女共用となっていることがトイレを我慢することにつながり、健康被害も考えられる」とも指摘している。

 浜松市内の学校関係者は「小学校高学年で体のつくりが変わってくると、用を足している姿を見るのも見られるのも恥ずかしいと感じ、男女共用トイレは使用を避けられる。むしろ大人より子どもの方がデリケートで『見られたくない』という感情が強いのではないか」と話す。

◆「使いづらい」児童困惑、夜間利用の大人も不満

 男女共用トイレが体育館に残る浜松市中区の佐鳴台小学校では、児童だけではなく、スポーツを楽しむため夜間に利用する大人からも不満の声が上がる。

 同小体育館のトイレは、同じスペースに小便器と個室便所がそれぞれ三つある。五年の女子児童は「体育の休憩時間はトイレの取り合いになる。男子に先に取られ『入っちゃだめ』と言われたら、校舎のトイレまで走るしかない」と困った表情で話す。

 同学年の男子児童も「使いづらい」と利用に消極的だ。運動会や発表会の練習、朝会、総合学習など児童が体育館を使う機会は決して少なくない。

 入学式や卒業式などイベントの際は保護者の男女が交ざらないように、学校側が「トイレ番」の教員を付けることもあるという。

 羽根付きのボールを打ち合うインディアカのチームに入り、平日夜に体育館で練習する地元在住の高松麻里さん(67)は「男女を問わず、誰かがトイレを使っている時は出て来るまで待つという暗黙のルールがある。(同小に通う)六年の孫娘も年ごろなのでかわいそう」と心配していた。

(松島京太)

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