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自閉症に「オキシトシン」効果 浜医大など解明

山末英典教授

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 対人関係がうまく築けないといった悩みを抱える自閉症スペクトラム障害(ASD)。「幸せホルモン」とされるオキシトシンを患者が鼻から吸引すると、表情が豊かになることを浜松医科大の山末英典教授を責任者とする研究チームが解明した。ASDの中心的な症状への治療法は確立されておらず、実現すれば世界初の治療薬になる可能性がある。

 山末教授によると、ASDは脳機能の不全が原因とされる。「職場で意図せず人を怒らせてしまう」「人の気持ちを読み取るのが難しい」といったトラブルの原因になる。近年の受診率の上昇に合わせて患者数も増加している。

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 研究では、十八歳以上の男性百二人のASD患者に六週間、毎日二回、鼻からスプレー状のオキシトシンまたは偽薬を投与した。医師や心理士との対話の様子を撮影した。表情を解析する機械で、投薬前後や偽薬との効果の差異を映像で比較。オキシトシンを投与した患者は口角の上がり具合など、表情の変化が明らかに大きかった。

 ASDの患者は、オキシトシンが正常に働いていない可能性があることは以前から指摘されていた。山末教授によると、オキシトシンの投与が、思考や創造性を担う脳の前頭前野の働きを良くするため、このような結果につながったという。

 現在、薬は保険適用に向けて、第三段階まである治験の第二段階。全国六大学と協力して実施している。

 オキシトシンは子宮を収縮させる作用や子どもの成長に影響を与える可能性もあるため、まずは男性で効果を実証する。女性や子どもへの効果や安全性を確認し、二〇二三年ごろまでの実用化を目指す。

 山末教授は昨年十二月、医療分野に貢献した若手研究者に贈られる内閣府の日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞した。

(鎌倉優太)

 <オキシトシン> ホルモンの一種。母乳を分泌させるなどの働きがあり、男性にもある。安心感や信頼感を育む作用もあるとされる。母と子、犬と飼い主の間などで、分泌が進むと相手を信頼する気持ちが高まることが分かってきている。「幸せホルモン」とも呼ばれる。

 <自閉症スペクトラム障害> 一般には自閉症やアスペルガー症候群などと呼ばれる症状の総称。100人に1〜2人いるとされる。男性が女性より多い。他人の気持ちが読み取れず、対人コミュニケーションが難しかったり、興味や関心に偏りがあったりするなどの特徴がある。

 

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