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朝夕刊

ふるさと納税 開く収支格差

◆17年度 静岡市最下位

 「返礼品競争」が過熱するふるさと納税で、県内市町でも収支の格差が大きいことが本紙の取材で明らかになった。二〇一七年度は静岡、浜松の両政令指定都市を含む六市町が赤字の一方、トップの藤枝市は三十五億円余を集めた。黒字額二位の小山町は、一八年度の寄付額で年間予算の二倍にまで膨らんだ。赤字の自治体担当者からは、ルールを守らない市町に納税が集まることに困惑の声が上がる。

 「われわれはルールにのっとって寄付金を集めているが、一部の自治体は制度を『間接通販』として利用している」と批判するのは浜松市の担当者。同市は約一億円の赤字で、静岡市に次ぐワースト二位。「控除額が増えるのを抑えられない」とし、一八年度も赤字額の拡大を見込む。

 浜松市は一五年度に三億円近い赤字となり、一六年度からインターネットの専用サイトを活用。返礼品も拡充し、約二億二千万円の黒字に転換。ウナギやミカンなど人気の地元産品も返礼品にそろえたことで、黒字が軌道に乗った、と思われた。だが、競争は激化して一七年度、再び赤字に。さらに一八年四月、返礼品の基準を「寄付額の三割以下の地場産品」とする総務省通知を受け、従った。

 通知には強制力がなく、高価な返礼品をそろえる自治体に多額の寄付が集まる状況が続いてきた。

 一方、「制度自体に疑問点がある」と返礼品を用意しない自治体も。長泉町は一七年度の寄付額が県内で最も少ない三十四万円で、七千万円近い赤字となった。「返礼品ありきでの状況では厳しい」と担当者は嘆く。

 七億二千万円の赤字だった静岡市は、黒字化は難しいものの収支の改善を見込む。一七年度から関東圏の新聞折り込みチラシやネット広告を活用し、PRを強化。返礼品の選択肢も二百種類から二百六十種類としたことで、寄付額が増えているという。

 政府は一九年度税制改正大綱で、基準を守らない自治体を六月一日から制度の対象外とすることを決めた。浜松市の担当者は「少しでも改善につながれば」と期待する。

 調査は、総務省が集計した一七年度の寄付額と一七年一〜十二月の納税による控除額を基に、各市町の収支を計算した。

(松島京太)

◆18年度 小山町248億円

ふるさと納税の受け付け中止を伝える小山町のホームページ

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 二〇一八年度の小山町のふるさと納税による寄付額が、昨年十二月末時点で二百四十八億八千万円となったことが、町への取材で分かった。一七年度一年間の寄付額二十七億円を大きく超え、一八年度一般会計当初予算の百二十四億円の約二倍となった。

 総務省がふるさと納税の返礼率を寄付額の三割以下とすることや、地場産品のみを返礼品とするよう各自治体に通知しているのに対し、「法改正がなされていないため現行制度の範囲内」として町は返礼率四割を維持。大手通販サイト「アマゾン」のギフト券などを返礼品としたこともあり、多額の寄付が集まったとみられる。

 総務省は通知を守らない自治体をふるさと納税の対象から外すよう、地方税法の改正案を一八年度中に成立させる意向。町は一月からふるさと納税の受け付けを中止し、返礼率や返礼品の見直しも視野に今後の制度運用のあり方を検討している。町の担当者は「現時点では何も決まってない。ふるさと納税の再開時期も未定」としている。

(杉原雄介)

◆総務相「大きな問題」

 小山町の寄付額が約二百四十九億円に達したことに、石田真敏総務相は十一日の会見で「社会的に大きな問題がある。良識ある行動とは思えない」と強い不快感を示した。

 石田氏は「制度的な隙間を突いており遺憾」と強調。「ルールを守りながら制度を維持してもらわないといけない。自分のところだけ(寄付金が集まれば)いいと考えたのなら問題だ」と語気を強めた。

 <ふるさと納税> 故郷や応援したい自治体へ寄付をすると、住民税や所得税から、自己負担金2000円分を除き寄付した同額が控除される制度。寄付の返礼品として特産物などを贈る自治体が多いが、寄付集めのために高額な電化製品や金券、地場産ではないコメやブランド牛などをそろえる自治体の競争が過熱した。

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