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浜松市10年連続最悪確実 政令市の人身事故

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 浜松市の二〇一八年一月〜十一月末の人口十万人当たりの人身事故件数が八百五十件超となっている。本紙の集計では、二位の静岡市とはすでに二百件ほど差が開いていて、全国の二十政令市のうち、十年連続で人身事故件数が最悪となるのは、確実な情勢だ。

 本紙は各道府県警に政令市での今年一月〜十一月末の人身事故発生件数を問い合わせた。十一月一日現在の各政令市の人口を基に、人口十万人当たりの人身事故件数を算出。その結果、最多の浜松市は八百六十八件で、ワースト二位は静岡市で六百五十五件、同三位は北九州市で六百四十九件と続いた。静岡県警浜松市警察部によると、一月〜十一月末時点で、市内では六千八百九十五件の人身事故が発生。交通事故死者数は十八人で、けが人は八千九百八十四人だった。車同士の人身事故のうち、追突や出合い頭による事故が約七割を占めた。

 浜松市が人身事故件数で政令市ワーストから抜け出せない理由について、「交通事故総合分析センター」(東京)が昨年三月にまとめた報告書では、市では公共交通機関の利用者が少なく、「日常生活で自動車利用の割合が高く、高齢者の運転免許保有率も高い」ことが一因と指摘。人口が同規模の相模原、岡山市と比較した意識調査では、「地域の交通マナーが良い」と答える割合が高く、安全意識が低い傾向にあると分析した。

◆低い安全意識「改革必要」

中沢町交差点で、多発する事故の傾向を語る土屋邦昭課長=浜松市中区中沢町で

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 人口十万人当たりの人身事故件数が、十年連続で政令市ワーストになる見込みとなった浜松市。自動車製造で発展を遂げた街だけに、市や県警は「脱出」を掲げてきたが、汚名はとうとう二桁年数に達する。どうすれば事故を減らせるのか。静岡県内の交差点で二〇一七年に最も人身事故が起きた「中沢町交差点」(中区)を、浜松中央署交通二課の土屋邦昭課長と歩き、多発する要因を探った。

 十二月中旬の平日午前七時半。通勤時間と重なり、車の数が次第に増えてきた。交差点を観察した一時間半でも、事故につながりかねない運転が見て取れた。

 赤信号で停車中、スマートフォンを操作する人は絶えず、画面に気を取られたまま発進し、前の車に衝突しそうな光景も。仕事へと急ぐのか、赤信号でも無理に進む車は少なくない。

 中沢町交差点は、市中心部から浜北方面を結ぶ国道152号と、「柳通り」と呼ばれる市道が交わり朝夕を中心に交通量は多い。県警によると、昨年一年間に同交差点で起きた人身事故は十六件。今年も十一月末までに十二件あり、上位を維持しそうだ。

 署は、人身事故件数が政令市ワーストとなる理由について、交通量の多さだとする一方、ドライバーの安全意識の低さが少なからず影響しているとみる。

 同交差点で起きる事故のほとんどが追突。土屋課長は「赤信号で停止したにもかかわらず、発進時に衝突する『せっかち』な運転が見られる」と言い「他の自治体ではあまりない事故だ」と指摘。矢印式信号で先に進んだ車につられ、追突する場合が多いという。

 「大きな事故になるのはあくまで結果」と土屋課長。交差点では進行方向の歩行者信号が赤になれば、アクセルから足を離して進む運転方法を薦め「スピードさえ落としていれば、重大な結果を招く可能性を下げられる」と呼びかける。

 一方、ある署幹部はワースト脱出について「現状では厳しい。十年連続という危機感が市民に伝わっていない」ともらす。土屋課長も「交通取り締まりは『薬』のようなもので効果は一時的。本当に減らすなら意識改革という『体質改善』が必要で、地道に安全運転を呼びかけていくしかない」と話した。

(坂本圭佑)

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