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17歳長女が証言 東名あおり運転事故公判

◆両親の死「もう会えない」

 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年六月、「あおり運転」の結果、ワゴン車に乗っていた静岡市清水区の夫婦を死亡させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(26)=福岡県中間市=の裁判員裁判は四日、横浜地裁で二日目の公判があった。ワゴン車の助手席にいた夫婦の長女(17)が検察側の証人として出廷し、事故の状況を語った。

 長女によると、直前のパーキングエリアで父、萩山嘉久さん=当時(45)=から駐車方法を注意された石橋被告の乗用車が猛スピードで追い掛けてきた。

 ワゴン車の前に割り込み減速させ、四回目に追い越し車線に停車させた。長女は「車線変更しても、同じことを繰り返してきた」と振り返った。

 裁判所は心情や年齢などに配慮し、長女は別室からの中継で証言した。ワゴン車は母、友香さん=当時(39)=がハンドルを握っていた。「母が車を止めた時、逃げられる手段はないんだと思った」と長女。被告は「けんか売っとるのか」「殺されたいのか。海に沈めるぞ」とワゴン車の二列目左側に座っていた嘉久さんに詰め寄る。「すいません」「けんかは売っていません」とあきらめたようにスライドドアを開けた嘉久さん。

 被告は嘉久さんの胸ぐらをつかみ、「高速道路に投げ飛ばすぞ」と、車外に引っ張り出そうとする。長女は後ろを振り返り、泣きながら嘉久さんの腕をつかんだ。母も嘉久さんの服をつかみ「やめてください」と声を出した。

 シートベルトを外し、運転席のドアに手を掛けた母。長女が覚えているのはそこまで。トラックが衝突し、車外に投げ出された両親は帰らぬ人となった。

 長女は途中、言葉を詰まらせ、三十分休廷した。それでも計一時間ほど明瞭な口調で答え続けた。

 三列目に座っていた次女(13)とともに病院に運ばれた長女は明け方、両親の死を知った。「もう二度と会えないんだなと、すごく悲しくて」。涙声だった。最後に被告に言いたいことを問われ、「世の中にはまだたくさん、あおり運転がある。なくすために重い刑罰にしてほしい」と語った。

(福島未来)

 <東名高速夫婦死亡事故> 2017年6月5日夜、神奈川県大井町の東名高速道路で、嘉久さん一家4人の乗ったワゴン車に大型トラックが追突し、嘉久さん夫婦が死亡。横浜地検は自動車運転処罰法違反罪の中で逮捕時の過失致死傷(最高懲役7年)より刑が重い危険運転致死傷(同20年)や監禁致死傷、暴行などの罪で石橋被告を起訴。3日の初公判で弁護側は危険運転致死傷罪は「停車後の事故に適用できない」として無罪を主張した。10日に求刑、14日に判決がある。

 

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