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ローランドの電子和太鼓開発者らに聞く

◆和太鼓の裾野 広げたい

 電子楽器大手のローランド(浜松市北区)が「電子和太鼓」の開発を進めている。地域の祭りからプロの舞台まで幅広く使われ、独特の響きが日本人の心を打つ和太鼓を電子化する意義は。製品化を目指す第1開発部長の西裕之さん(53)、チームリーダーの野村晃太郎さん(34)、ソフトウエア開発者の和泉清矢さん(27)の三人に聞いた。

■「鼓童」との出合い転機

電子和太鼓の試作機を囲むローランドの(右から)西裕之さん、野村晃太郎さん、和泉清矢さん=浜松市北区で

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 −電子ドラムを手掛けるローランドらしい挑戦だ。

 西 ドラムは基本的に座ってたたくが、打楽器の歴史的背景を考えると、本来は踊りと一体。もっと動き回れる打楽器がほしいとの思いが出発点だった。転機は二年半ほど前の太鼓芸能集団「鼓童(こどう)」との出合い。電子和太鼓を自作したメンバーがいて、意見を聞きたいとの話があり、共同開発が始まった。

 −電子化の利点は。

 野村 和太鼓と形は同じでも、表裏で全く違う音を鳴らせる。電子ドラムの打面はナイロンのメッシュ素材で、天候に左右されず安定的に音を出せる。和太鼓は音が大きく、練習場所探しや他の楽器との合奏が大変だが、電子なら音量を絞ったり演奏をヘッドホンで聴いたりもできる。結果として、和太鼓の裾野を広げられる。

■製品化へ軽さ追求

 −昨年八月に最初の試作機、今年七月に二号機を発表した。

 西 ストラップで肩からつるして使う「担ぎ太鼓」で、電子ドラムのパッド二枚を金属の棒でつないだ。ギターのようなフットワークの良さに目を付けたが、初号機は重さが十キロほどもあった。肩に青あざができるほどで、中学生なら五分と持たない。別の音源装置にケーブルで接続する必要もあり、一人で操作したり、激しく動き回ったりするのは難しかった。

 二号機も基本原理は一緒だが、より軽量なパッドを使うなどして重さを六キロほどにまで減らした。音源を一体化して手元で音色を切り替えられるようにし、アンプとの接続も無線化した。

国際文化交流フェスティバル「アース・セレブレーション2018」で電子和太鼓を演奏する鼓童のメンバーたち=8月17日、新潟県佐渡市で(岡本隆史氏撮影)

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 −残された課題は。

 和泉 実際の和太鼓のように、打点が中心から外側へ移るほど音が硬くなる機能は、まだ搭載していない。奏者は微妙な音質の変化にこだわるので、製品では応えたい。重さも、同サイズの和太鼓はせいぜい五キロ前後。物理的な制約をなくし、できれば本物より軽くしたい。

 −製品化の時期は。どういう人たちに売り込むか。

 西 東京五輪・パラリンピックがある二〇二〇年が照準。日本文化に関するイベントが多く開かれる中で、声を掛けてもらうことを期待している。国内には数え切れないほどの和太鼓グループがある。まずは練習機や代用品でもいいので使ってもらい、音量などの困り事を解決できれば。

 野村 同サイズの和太鼓は五万〜二十万円ほど。同じくらいの予算で買えるものを目指す。十月十三、十四日の「やらまいかミュージックフェスティバルinはままつ」にも出展するので、市民に触れてほしい。

 和泉 浜松市近郊には浜松まつりのほか、和太鼓を用いる特徴的な祭りが多い。地元でも取り入れてもらえたらうれしい。

(聞き手・久下悠一郎)

 

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