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転落中学生 歩きスマホ 東静岡駅死亡事故

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 静岡市葵区のJR東海道線東静岡駅で十九日、中学三年の男子生徒(14)が列車とホームの間に挟まれ死亡した事故で、男子生徒が歩行中にスマートフォンに気を取られ、ホームから転落していたことが、警察関係者への取材で分かった。

 警察関係者によると、ホームの防犯カメラに、男子生徒が下を向き、手にしたスマホを見ながら歩く様子が写っていた。複数の同級生と下校していたが、エスカレーターからホームに降りた後、一人だけ線路側に向かって斜めに歩行。そのままホームから左足を踏み外し、後ろから入線してきた列車と接触し、ホームとの間に挟まれたという。

 JR東海静岡広報室によると、「歩きスマホ」の危険性を訴えるため、県内の主な駅に啓発ポスターを貼り付けているほか、ホームのアナウンスで歩行中のスマホの使用を控えるように呼び掛けている。担当者は「転落事故や利用客同士の衝突を防ぐため、歩きスマホは控えてほしい」と話している。

 男子生徒が命を落としたのは、歩行中にスマートフォンの画面を見る「歩きスマホ」が原因だった。スマホを含む携帯電話使用時の線路上の転落事故は増加傾向にあり、専門家は「視界が著しく狭まり、気付かずに蛇行して歩いてしまう人もいる。事故に遭う可能性は非常に高い」と警鐘を鳴らす。

 国土交通省が鉄道会社の報告をまとめた統計によると、携帯電話使用時に線路上に転落した人は二〇一〇年度には十人だったが、一五年度に四十二人、一六年度に二十四人に達した。県警鉄道警察隊によると、今回の事故を除けば、県内でこれまでに歩きスマホが原因の人身事故は確認されていない。しかし、八木秀之副隊長は「歩きスマホで線路に転落しても、自力でホームに上がる人もいる。けがや人身事故がなければ計上されず、他に転落者はいる可能性もある」と話す。

歩きスマホの危険性を訴えるJR東海の啓発ポスター=JR静岡駅で

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 過去には、主に首都圏で大事故につながったケースもある。一三年五月、東京都新宿区のJR四ツ谷駅ホームで、携帯電話を操作しながら歩いていた小学五年の男児が線路上に転落し、重傷を負った。十月には東京都板橋区で携帯電話を見ながら歩いていた男性が誤って踏切内に進入。列車にはねられ死亡した。

 繁華街の交差点や駅ホームで歩きスマホの危険性を検証している愛知工科大の小塚一宏名誉・特任教授(交通工学)は「視界が狭まり、目線が足元を向くため、前方から近づく人に気付きにくく危険だ」と説明。小塚教授の検証実験によると、通常歩行時の視界は左右に約三メートルの広がりがあるが、歩きスマホは二十分の一に縮まるという。前方の人や物を認識するのは、約一・五メートルまで近づいた時点とされ、向かってくる歩行者を避けられない。

 また、小塚教授は「実験では真っすぐ歩いているつもりでも、画面に熱中すると無意識に蛇行して歩く人もいた」と指摘。「事故防止にはモラルの向上が必要だが、条例制定や通信会社の対策も有効ではないか」と語る。

(西田直晃)

 

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