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サクラエビ不漁 漁打ち切り、競り価格高騰

春漁で水揚げされるサクラエビ。今季は記録的な不漁に陥っている=4月、静岡市清水区の由比漁港で

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 駿河湾の味覚、サクラエビの今季の春漁が記録的な不漁に陥り、予定より早く漁を打ち切る異常事態となっている。四月十日の初出漁から六月三日までの水揚げ量は、記録が残る一九八六年以降で最低の約三百十二トン。産卵する親エビの減少が原因とみられ、地元関係者は影響の長期化を心配している。

 駿河湾でのサクラエビ漁は春と秋の年二回。漁船百二十隻が出漁し、由比漁港(静岡市清水区)と大井川港(焼津市)に水揚げされる。春漁は、年間を通じた水揚げ量の三分の二を占める。県桜えび漁業組合によると、今季の出漁日数は計十九日間で例年並みだったが、水揚げ量は昨季(約八百十一トン)の半分にも届かなかった。例年、四月は風が強くて出漁の機会が少なく、海が穏やかになる五〜六月が漁の最盛期となる。多いときには一日に三十〜四十トンある水揚げが、今年は数トン〜十数トンにとどまった。

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 不漁で競り価格も高騰。近年は一キロ当たり二千〜三千円だったが、五月下旬以降は倍の五千円台後半で取引される日が続いた。

 サクラエビのまとまった個体が生息するのは全国で駿河湾のみ。県水産技術研究所(焼津市)によると、産卵する親エビが少なくなっており、湾内での産卵個数(推計)は二〇〇九年以降、豊漁だった一九九九年、二〇〇〇年の一〜三割程度に落ち込んでいる。

 組合の望月武組合長は黒潮大蛇行の影響を指摘する。「水温の高い黒潮が伊豆半島を迂回(うかい)して駿河湾に流れ込み、サクラエビの成長を促すが、昨年は黒潮が大蛇行して湾に流れ込まず、不漁につながったのではないか」とみている。

 漁業者にとって、漁の打ち切りは資源確保のための苦渋の決断だった。七十年近くサクラエビ漁に携わってきた船元の望月好弘さん(83)=清水区=は「こんなに捕れないのは初めて。収入は例年の三分の一から四分の一に落ち込んでいる。二、三年不漁が続くなら廃業を考える船元も出るかもしれない」と話している。

(沢井秀之)

 

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